こんにちは!ねこ太🐈です。
今回は、『肝硬変』についてバッチリ克服していきましょう!
『肝硬変』はウイルス性肝炎やアルコール性肝炎、薬剤性肝炎などといった『慢性肝炎』とつながっており、看護師国家試験に頻出する疾患の1つです。
症状も複雑で多岐に渡りますが、分かりやすく要領よく覚えていきたいと思います♪
最後に『肝硬変の症状のまとめ表』も作りましたので、確認にも使ってくださいね。
それでは、国試合格🌸に向けてねこ太🐈と一緒に楽しく勉強していきましょうヽ(*^^*)ノ
自分でノートにまとめるより、参考書に書き込んで勉強していくタイプの人にはレビューブックがすごくオススメです!
ちなみに‥わたしもそういうタイプです♪
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肝硬変に関する看護師国家試験問題を解いてみよう!
良かったら、力試しと思って‥ぜひ看護師国家試験問題を解いてみてくださいね!
後半の『看護師国家試験問題のねこ太解説』で解き方を解説していきます。
看護師国家試験問題(第103回 午後84問)
肝硬変でみられる検査所見はどれか。2つ選べ。
1.血小板増多
2.尿酸値上昇
3.血清アルブミン値低下
4.血中アンモニア値上昇
5.プロトロンビン時間短縮
看護師国家試験問題(第102回 午前50問)
肝硬変で皮下出血、腹水貯留および手指の振戦がある患者に対する食事で適切なのはどれか。
1.高蛋白食
2.高脂肪食
3.低残渣食
4.塩分制限食
では‥この看護師国家試験問題を解くために‥また実習でも役立つ知識を身に付けるために‥『肝硬変』について、一緒に楽しく『広げ学習』をしていきましょうヾ(≧∇≦*)/
『広げ学習』とは、気になったことなどを調べながら、広~く・深~く知識を身につけてい学習のことです。(by ねこ太)
↑↑
全部が予想問題だから、初めて出会う問題ばかり!
自分の力試しとか、復習するのにとってもいいかも♪
肝硬変とは
肝硬変ってどんな病気なのかな?
そうですね。
まずは、疾患の定義から理解しておくと、他の検査や治療についても分かりやすいですね!
では、一緒に勉強していきましょう。
【肝硬変とは】
炎症による肝細胞の壊死の後に、炎症を修復するときにできる「線維」が増えて、肝臓全体に拡がった状態。慢性肝炎の終末像である。
そうなんだ‥。
急性肝炎からはいきなりなることはないのね。
そうなんです。
肝臓は回復力の強い臓器ですが、炎症を起こしては修復を繰り返していく過程で‥徐々に線維質が増えて、硬くなった状態をイメージしてもらえるといいかもしれません。
肝硬変の原因
慢性肝炎から肝硬変へと至るため、慢性肝炎として多いウイルス性肝炎が大多数を占めています。
その他としては、非アルコール性脂肪肝(NASH)があります。
ちょっと余談ですが‥脂肪肝は以下のように分類されています。
以下は‥余裕があれば、覚えるくらいで大丈夫です。
脂肪肝にもいろいろ種類があるんですね。
そうですね!
脂肪肝は、上図のようにアルコールが原因のものと、ほとんどアルコールを飲まない人に起こる非アルコール性の2つ大別されます。
さらに非アルコール性のものは良性の経過をたどる単純性脂肪肝と、肝硬変や肝癌に進行する可能性がある非アルコール性脂肪肝炎 (nonalcoholic steatohepatitis: NASH)に分類されます。
日本では、NAFLDが約1000万人、その内NASHが約100~200万人いると言われています。
肝硬変の特徴
元々あった肝細胞が線維に置き換わっているため、肝細胞も元のようには再生できず、肝臓の機能が低下しています。
また線維化によって、肝臓内の血管が圧迫されて、血液の流れが阻害されます。
その結果、門脈内圧が亢進(上昇)していきます。
肝硬変の症状を理解する上でとても重要になってくるので、下にまとめておきますね♪
【肝硬変の特徴】
1.肝機能が低下する
2.門脈圧が亢進する
代償性と非代償性
肝硬変は病状の進行度によって『代償性肝硬変』と『非代償性肝硬変』に分けられます。
病状の進行度ということは、どっちが悪い状態なんだろう?
良い発想の仕方ですね!
肝硬変の進行(悪化)といった流れで理解するとイメージもしやすく頭にも残りやすいですね。
【代償性肝硬変とは】
代償性肝硬変⇒肝臓の機能がなんとか保たれており、症状が余り現れない状態
非代償性肝硬変⇒肝臓の機能が保たれなくなり、様々な症状が現れてきる状態
なるほど~、ということは非代償性肝硬変の方が病状が悪化した状態なんですね!
でも、『代償』とか『非代償』とか‥なんか難しい言葉で頭に入ってきづらいな‥。
『代償』とは「代わりに償(つぐな)う」と書きますので、「肝臓の障害されて働けない細胞の代わりに、まだ正常な細胞が頑張って補うことで、何とか肝臓の機能を維持している状態」と理解しましょう!
肝臓は普段の生活の中で、最大能力の30%しか使っていないと言われています。
つまり、正常な肝細胞が30%あれば‥肝機能を維持できるくらい『予備力』が高い臓器といえます。
なんか肝硬変といったら、かなり悪い状態をイメージしてたけど‥
肝臓が線維化して硬くなっても、まだ肝臓の機能が維持できている時期(代償期)があるんですね~。
肝硬変と肝不全
また、似たような言葉として『肝不全』というものもあります。
【肝不全とは】
肝臓の機能が維持できないまで低下した状態で、意識障害、黄疸、腹水、消化管出血などの症状が生じる。
慢性肝炎の終末像‥つまり非代償性肝硬変の状態かな?
肝硬変の終末像って感じですよね。
その通りですね!
肝硬変の終末像が‥肝不全で、まさに非代償性肝硬変の状態とも言えます。
また肝不全は‥急性肝炎からもなったりしますよ。
肝硬変の症状
肝硬変の症状は、全身倦怠感、食欲不振、意識障害、黄疸、掻痒感、腹水、消化管出血、貧血、脂肪便、女性化乳房、くも状血管腫‥
ねこ太せんぱい!
そんなにいっきに言われても、覚えられる訳ないじゃないですか~!!
ゴメンなさい‥。
つい頭に思い浮かんだものを‥言ってしまいました‥。
覚え方にはコツがありますので、一緒に勉強してしまいましょう!
覚え方のポイントは、理解しながら系統的に覚えることです。
肝硬変の特徴を思い出してみましょう。
えっと‥それくらいなら覚えてますよ!
肝機能の低下と‥門脈圧の亢進でしたよね♪
その通りです♪
『肝機能の低下』と『門脈圧亢進』‥この2つに分けて、それぞれどういった影響が現れるのか‥考えてみましょう!
『肝臓の機能』について復習したいという方は、下記の記事にまとめていますのでご覧くださいね♪
肝機能低下による症状
まずは‥『肝機能低下』によってどのような症状がでるのか勉強していきましょう!
栄養素の代謝・貯蔵ができない
肝臓は『栄養素の代謝や貯蔵』をしていますが、肝硬変によってそれが上手く機能しなくなります。
糖代謝が上手くできなければ、食事を摂った後にグルコース(ブドウ糖)からグリコーゲンを合成して肝臓に貯蔵することができません。
そのため、血糖が高くなり、糖尿病になることもあります。
また逆に肝臓にグリコーゲンが貯蔵できず、空腹時にグリコーゲンからグルコースへの分解もできなくなるため、低血糖にもなりやすい訳です。
タンパク質の代謝において、まずアルブミンの合成ができなくなるため、低アルブミン血症を引き起こし、浮腫や腹水の原因となります。
また肝臓では多くの血液凝固因子(タンパク質)を合成していますが、それらが合成されないことで、出血しやすくなります。
最後に脂質の代謝については、肝臓ではコレステロールを合成しています。
コレステロールは細胞膜やホルモンの原料になる物質であるため、それらが合成できないことで新陳代謝が正常に行われなくなるなど‥全身に様々な影響を与えます。
またトリグリセリド(中性脂肪)も合成できなくなるため、身体に蓄えられるエネルギーも枯渇していくことが考えられます。
解毒(不活化)作用ができない
肝臓には『解毒(不活化)作用』がありますが、肝硬変によってそれが上手く機能しなくなります。
まず、アルコールの代謝については、アルコールやその代謝産物であるアセトアルデヒドという有害な物質を肝臓で解毒しています。
これができなくなることで、アルコール中毒やお酒に酔い(宿酔)やすくなったり、二日酔いの症状が出現しやすくなります。
タンパク質の代謝では、アンモニアが発生しますが、それを解毒することができないため、高アンモニア血症を引き起こし、肝性脳症につながります。
高アンモニア血症の人には便秘に注意するって授業で習ったけど、なぜなんだろう?
タンパク質の代謝だけでなく、実は腸の中でも腸内細菌によってもタンパク質が分解されてアンモニアが発生しているんです。
便秘によってアンモニアが大量に発生してしまうので、便秘を避けた方がいい訳です。
このことは【治療】の所でも解説していきますね!
ホルモンについても、肝臓で不活化されています。
特に肝硬変で問題となるのは‥エストロゲンの代謝についてです。
エストロゲンは卵巣(卵胞)から分泌されるホルモンで、妊娠や月経周期などに関係しますが、他に血管を拡張させる働きもあります。
エストロゲンが不活化されずに多量に血液中を流れるようになると‥血管が拡張し、くも状血管腫や手掌紅斑といった症状が現れます。
さらには男性の場合は女性化乳房といった症状もあります。
最後に薬剤についても不活化できなくなるため、副作用(中毒症状)が現れやすくなるので、注意が必要です。
ビリルビン代謝と胆汁の生成・排泄ができない
肝臓では、脂溶性の間接ビリルビンをグルクロン酸抱合することで、水溶性の直接ビリルビンに変換し、胆汁中に排泄しています。
肝硬変になると、この機能が落ちてしまい、グルクロン酸抱合されず、血液中の間接ビリルビンが増加していきます。
ビリルビンが増えることで、黄疸や掻痒感といった症状が現れます。
【黄疸が現れる目安】
総ビリルビン⇒約2~3mg/dL
また胆汁が生成されないことで、脂肪の消化・吸収ができなくなり、脂肪便や食欲不振が見られることがあります。
具体的には、便器の水の中に油が浮いているような感じの便になります。
門脈圧亢進による症状
次に‥『門脈圧亢進』によってどのような症状がでるのかを勉強していきます!
門脈とは、胃・小腸・大腸・膵臓・脾臓などの腹腔内臓器からの血管が集まって肝臓へと入っていく部分を指します。
門脈の圧力が亢進すると、これら門脈へとつながる血管においても圧力が亢進していき、それによって様々な症状が現れます。
臍
う~ん、お臍につながっている血管の名前が何個もあるけど‥何でだろう?
不思議ですよね‥。
そのことについて、今から理由を説明していきますね!
臍につながる血管は、お腹にいた胎生期においては、臍動脈・臍静脈がありました。
この内、門脈とつながっていたのは‥臍静脈です。
ただし、出生後は臍静脈には血液は流れなくなります。
そして、大人になった現在も存在しています。
それが‥肝円索で、細いストロー状の長いヒモのようなものです。
門脈圧が亢進すると‥この肝円索の中にも血液が流れてくる(逆流)ようになります。
そうなったものを臍傍静脈という呼び方をします。
なるほど~状態によって呼び方が変わるんですね!
門脈圧が亢進した結果、臍傍静脈に血液が充満し、さらに臍周辺の皮下を通る腹壁静脈が怒張しています。
『怒張』って日常では余り使わない言葉だけど、血管とかが太く膨らんでいる状態でしたね。
その結果、臍の周辺にメデューサの頭のような形をした血管像が浮かび上がります。
これを~~~
メデューサの頭と言います♪
そのままじゃないですか~!
もう少し‥おヘソから放射線状に‥とか説明もできたんじゃないですか!?
そ‥そうですね‥。
もっと語彙力をつけて‥説明が上手くできるように、が‥がんばりますね‥。
小腸・大腸
小腸や大腸には上(じょう)腸間膜静脈や下(か)腸間膜静脈が門脈につながっています。
この2つの血管の圧力が増加することで、腸が浮腫(むく)んだり、腹水の原因になったりします。
肝硬変では食欲不振なども起こりますが、腸の浮腫みのその一因として考えられそうですね。
脾臓
脾臓については、脾静脈が門脈とつながっています。
脾静脈の圧力が増加することで、脾臓内の血液が増量して膨らんでいきます。
これを脾腫といいいます。
脾臓の働きは何だか覚えていますか?
え~~~~っと
え~~~~~~~~~~~~~~~~~~っと‥
いいですよ!
すぐに答えを求めない姿勢‥素晴らしいですね。
思い出そうとしたり、考えたりすることでアウトプット機能が強化されます!
それに、悩んだ末に得た答えは‥忘れにくくなります♪
【脾臓の機能】
血液中の古くなった血球成分を破壊する
そして、脾腫になると‥脾臓の機能が亢進して、沢山の血球成分が壊されていきます。
その結果、貧血や易感染性、出血傾向といった症状が現れる訳です。
脾腫とは関係ありませんが、実は‥肝臓ではトロンボポエチンというホルモンが作られています。トロンボポエチンは血小板産生を促進するホルモンであるため、肝硬変ではトロンボポエチンが作られず、そういった意味でも血小板が減少します。
食道・胃
食道や胃には胃静脈が門脈につながっています。
胃静脈の血管の圧力が高くなることで、静脈瘤ができてしまいます。
食道の粘膜は扁平上皮細胞で覆われているように、形があったり、熱かったり冷たかったりする食べ物が通る部分でもあるため、静脈瘤が傷つきやすい場所でもありますね。
静脈瘤が破れてしまうと‥大量出血を起こしてしまい、命に関わってきます。
一般的に静脈瘤が未治療の状態で破裂した場合の致死率は約50%と言われています。
かなり致死率も高いため、観察と緊急対応がとても大切になってきますね。
チャイルド・ピュー分類
ここまで、肝硬変の症状について、機序を勉強してきましたが、最後に『チャイルド・ピュー分類』を押えておきましょう!
『チャイルド・ピュー分類』とは、肝硬変の重症度を測るもので、5項目について点数化して「A~C」の3段階で評価していきます。
流石に‥これ全部を覚えるのは大変そうですね。
全部覚える必要はありません。
どんな項目で評価しているのか‥チャイルド・ピュー分類の評価項目までは過去の看護師国家試験にも出ていますので、押えておきましょう!
チャイルド・ピュー分類の評価項目について、今まで勉強してきた【3つの肝臓の機能不全】と【門脈圧亢進】で分類していくと上記のようになります。
肝硬変の症状を万遍なく表しているんですね~。
その通りですね!
この中で腹水については、門脈圧亢進による影響が大きいと思われますが、当然の事ながら‥低アルブミン血症による影響もあることも‥一応押えておきましょう!
肝硬変の検査・診断
肝硬変の診断には、血液検査や超音波検査、フィブロスキャン検査、MRE検査などから多角的に診断することができます。
確定診断には肝生検を行うのが一般的です。
血液検査
血液検査では、「肝臓の傷害(破壊)」と「肝臓の機能」の2つのタイプに分けて理解していきましょう!
肝臓の傷害(破壊)
この3つは、総称してトランスアミナーゼと言われますが、これは‥アミノ酸の合成に関わる酵素です。
また一般的には、肝臓に障害が起こると、ASTもALTも上昇しますが、疾患によって以下のような傾向が見られます。
肝細胞には、ASTもALTも両方とも含まれていますが、ASTはALTの3倍多く含まれています。
またASTの半減期は5〜20時間ですが、ALTの半減期は40〜50時間で、ASTの方が消失する時間が早い訳です。
このような特徴から、上記のような疾患によるAST・ALTの上昇の傾向が現れると考えられます。
肝臓の機能
肝臓の機能を表すものは多岐に渡るため、ここでは代表的な検査項目を紹介します。
ビリルビンには、間接ビリルビンと、肝臓で処理が行われた直接ビリルビンの2つがあり、この2つを合わせて、総ビリルビンと呼びます。
直接ビリルビンと間接ビリルビンの数値をみることで、黄疸の原因が推測できます。
肝硬変の治療
肝硬変に対する根治的な治療法はありませんが、肝硬変の治療としては、大きく2つあります。
1つは肝硬変の原疾患に対する治療で、もう1つは肝硬変に対する対症療法です。
原疾患に対する治療
原疾患が最も多いウイルス性肝炎(B型・C型)の場合は、抗ウイルス薬が有効です。
【B型肝炎に対する抗ウイルス薬】
・インターフェロン
・核酸アナログ製剤(エンテカビル、ラミブジン、アデホビル)
【C型肝炎に対する抗ウイルス薬】
・インターフェロン、ペグインターフェロン
・リバビリン
またアルコール性肝炎の場合は断酒をすることが肝要です。
重症例にはステロイド療法や肝移植が行われることもあります。
その他に肝炎全般に共通する治療として、肝庇護療法(ウルソデオキシコール酸などの内服)が行われることが多いです。
肝硬変に対する対症療法
肝硬変で治療の対象となる‥主なものは以下の3つです。
【肝硬変の症状に対する治療】
・腹水の治療
・肝性脳症の治療
・食道・胃静脈の治療
では、1つずつ勉強していきましょう!
腹水の治療
腹水に対する基本的な治療は、「水分・塩分の制限」と「利尿剤」の投与です。
それでも効果が十分に得られない場合に‥「アルブミン製剤」の使用が検討されます!
また場合によっては、腹水穿刺をして腹水を抜く場合があります。
その際、いっきに腹水を抜くと腹腔内圧が低下して血圧低下のリスクがあるため、医師の指示による排液のスピードを厳守し、バイタルサインに注意していく必要があります。
また当然ながら、刺入部からの感染にも気を付けていきます。
肝性脳症の治療
便秘の予防が大切でしたね。
だから‥下剤を使用してコントロールしていくんですね!
そうです!
その他にも実はラクツロースも便秘の予防やアンモニアの抑制に一役買っています。
ラクツロースは、大腸で細菌により分解されて乳酸、酢酸になります。
乳酸や酢酸は酸性物質なので、腸内のpHを低下させます。
その結果、アンモニアが中和され、腸管からのアンモニアの吸収が抑制されます。
また緩下作用によって便通もよくなります。
乳酸や酢酸は‥腸を刺激して蠕動を促進するだけでなく、悪玉菌の増殖を抑制したり、腸粘膜を保護する作用などもあります。
そして、抗菌薬は、腸内のアンモニアを生成する腸内細菌を減らす目的で使用されることがあります。
アンモニアは腸内だけでなく、体内でもタンパク質を代謝した結果生じる物質でもあります。
なので‥タンパク質は余り多く摂らない方がいい訳です。
特に非代償性肝硬変ではタンパク質を控えた低タンパク食が必要です。
他方で、体内に生じたアンモニアを解毒(分解)するのに、BCAA(Branched Chain Amino Acids)が有効なため、BCAAの摂取も勧められます。
BCAA(Branched Chain Amino Acid)とは、バリン、ロイシン、イソロイシンという3つのアミノ酸総称です。この3つは必須アミノ酸(9種類ある)に含まれます。
ちなみに‥必須アミノ酸はバリン、ロイシン、イソロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン(スレオニン)、トリプトファン、ヒスチジンです♪
カン子‥スゴイ~!
食道・胃静脈瘤の治療
食道や胃の静脈瘤に対する治療は、内視鏡下で無水エタノールを注入して硬化させる「内視鏡的硬化療法(EIS)」とゴムで結紮する「内視鏡的食道静脈瘤結紮術(EVL)」の2つがあります。
余りテキストには載っていませんが、治療当日は丸一日絶食となります。
翌日から水分摂取が始まり、状況を見て流動食から3分‥5分‥と食上げしていきます。
どちらの治療においても、治療した部位が潰瘍化してくるため、粘膜保護剤の内服をします。
その他の治療
その他の治療として食事療法があります。
肝硬変の状態によって、制限は変わってきます。
以前は、高エネルギー・高タンパク・高ビタミン食が基本とされていましたが‥それだと高脂肪食になってしまい、脂肪肝のリスクが高くなります。
そのため、現在では、代償性肝硬変であれば‥以下が標準となっています。
【肝硬変の食事療法】
バランスの良い食事
エネルギーは『30~35kcal/kg』
タンパク質は『1.0~1.2g/kg/日』
脂質の必要量は総エネルギーの『20~25%』
『30~35kcal/kg』のエネルギー量は、立ち仕事など中等度の活動をする人と同じくらいです。
また一日あたりの食事摂取基準では、タンパク質は『50~60g』、脂質についても総エネルギーの『20~30%』ですので、代償期では‥余り大きな違いはなさそう‥つまりバランスが良いという訳です。
非代償期では‥低タンパク食(0.5~0.7g/kg/日)になり、不足した分をBCAAで補います。
肝硬変患者への看護・日常生活における注意点
【症状の緩和】
・全身倦怠感が強い場合は、安静を促し、安楽を保つ。
安静にすることで、肝臓への血流を増やして、肝臓の再生を促進させることが期待できます。ちなみに‥仰臥位であれば立位よりも肝血流量が20~30%増加するといわれています。
ただし、必要以上の安静は脂肪肝やサルコペニア(筋肉量の減少)を招き、QOLや予後を悪化させるため、代償期では散歩などの適度な運動は有用です。
・浮腫がある場合は、その部位を挙上させたり、温浴などを行う。
温浴などするとリンパ液や血液の流れが良くなって、浮腫が軽減しますね。
・腹水に対しては、ファーラー位など頭部を挙上する。
呼吸がしやすくなったり、腹壁の緊張がなくなって、安楽ですね。
・水分や塩分の制限について患者さんに説明する。
・掻痒感に対しては、気温の上昇や乾燥などの環境による影響を考慮して調整する。
寝衣なども吸湿性があるもので皮膚の刺激が少ないものが良いです。
また清拭などでは、アルカリ性の重曹(炭酸水素ナトリウム)などを用いると掻痒感が軽減する場合があります。
・出血傾向がある場合は、歯ブラシを柔らかいものに変えたり、鼻を強くかまないことなどを指導する。
採血する場合なども、十分に圧迫止血する必要がありますね!
【食道・胃静脈瘤破裂の予防と早期発見】
・硬い食べ物や熱い物、冷たい物は避けるように指導する。
・出血の徴候を観察し、見られる場合は医師に報告する。
吐血や下血はもちろんですが、バイタルサインや自覚症状も観察してショック徴候に注意していく必要があります。
【肝性脳症の予防と早期発見】
・検査データ(アンモニア値)と共に、睡眠パターンの変化、異常行動、羽ばたき振戦などの有無を観察する。
【心理面のケア】
・基本的な完治が見込めず、予後も悪いため、患者さんは悲観的になりやすい。
患者さんの気持ちを理解して受け止め、患者さんが前向きに治療を受け生活していけるように関わることが大切ですね。
↑↑
勉強して疲れたら‥やっぱチョコレートで糖分補給♪
わたしは‥濃いカカオのビターテイストがやっぱり好きかな~。
看護師国家試験問題のねこ太解説
では、今まで学んできた知識を元に、はじめにみた看護師国家試験問題を解いていきましょう♪
看護師国家試験問題(第103回 午後84問)
肝硬変でみられる検査所見はどれか。2つ選べ。
1.血小板増多
2.尿酸値上昇
3.血清アルブミン値低下
4.血中アンモニア値上昇
5.プロトロンビン時間短縮
「1.血小板増多」
血小板については、門脈圧亢進による脾腫によって、血小板が破壊され、減少していきます。
また肝臓で合成されるトロンボポエチンは血小板産生を促進するホルモンでもあるため、肝硬変ではトロンボポエチンが作られず、血小板が減少します。
なるほど~どちらにしても、血小板は減少する訳ね~!
「1」は「×」です。
「2.尿酸値上昇」
肝臓では、アンモニアから尿素が作られますが、尿酸と尿素は別物です。
なので、尿酸値は特に関係がないため、「2」は「×」となります。
尿酸値が上昇する疾患は「痛風」でしたね!
「3.血清アルブミン値低下」
肝硬変では、肝臓でアルブミンが作られなくなるため、血清アルブミン値が低下して浮腫や腹水を引き起こしたりします。
なので、「3」は「〇」です。
「4.血中アンモニア値上昇」
肝臓では腸管から吸収されたり、体内のタンパク質代謝で発生したアンモニアを代謝して尿素に変換する働きがありました。
肝硬変ではこの代謝ができないため、「アンモニア」が増えて肝性脳症を引き起こしたりします。
よって、「4」は「〇」です。
ということで、正解はでましたが、一応確認のため最後の選択肢も見ていきましょう!
「5.プロトロンビン時間短縮」
肝臓ではタンパク質を合成していましたが、その中に血液凝固因子がありました。
そのため、肝硬変では血液凝固因子が作られず、「PT」も「APTT」も延長(血液が固まりにくくなる)していきます。
なので、プロトロンビン時間の短縮ではありません。
よって「5」が「×」です。
正解は、「3」と「4」です。
看護師国家試験問題(第102回 午前50問)
肝硬変で皮下出血、腹水貯留および手指の振戦がある患者に対する食事で適切なのはどれか。
1.高蛋白食
2.高脂肪食
3.低残渣食
4.塩分制限食
肝硬変で「皮下出血」「腹水貯留」「手指の振戦」がある患者となっています。
という事は‥出血傾向(血小板が減少もしくは凝固能の低下)、門脈圧亢進(もしくは低アルブミン血症)、アンモニア値の上昇がありそう‥。
そうだね。
それに‥症状がそれだけ出ているということは非代償期にある肝硬変と言えそうだよね!
「1.高蛋白食」
高タンパク食だと‥アンモニア値が益々高くなってしまうから‥余り良くないかも‥。
非代償期だから‥低タンパク食でしたね。
「1」ば「×」です。
「2.高脂肪食」
えっと‥脂肪の多い食事は、脂肪肝を引き起こして、さらに肝硬変を悪化させてしまう危険性があるから‥やっぱり良くないですね!
「2」ば「×」です。
「3.低残渣食」
低残渣食って何だっけ?
低残渣食とは、胃腸に負担をかけないように調整した食事のことです。
具体的には、食物繊維や脂肪、さらには香辛料などの刺激物を減らした食べ物のことです。
そうなんですね。胃腸に優しいのは良い事だけど‥。
食物繊維はあった方が便通が良くなっていいから‥低残渣食は逆に肝硬変患者さんには合わないですね!
「3」は「×」です。
「4.塩分制限食」
腹水のある患者さんの治療として、水分と塩分を制限するから‥これは正しいですね!
「4」は「〇」です。
ということで、答えは、「4」です。
さいごに‥まとめ♪
長くなってしまいましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました!
肝硬変は、ちょっと覚えることも多くて大変かもしれませんが‥『肝臓の機能』と『門脈の位置関係』‥という肝臓の解剖生理から理解して覚える!
これがポイントでした♪
忘れたら‥何度でも復習していきましょうね!
まずは看護師国家試験の合格🌸に向けて、これからも一緒にがんばっていきましょうo(*^▽^*)o
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