こんにちは!ねこ太🐈です。
看護師国家試験によく出てくる検査の一つが呼吸機能検査です。
その中で「フローボリューム曲線」って知っていますか?
えっ、1秒率とか出すスパイログラムとは違うの?
ええ、違います。
実は同じ呼吸機能検査ではありますが、検査結果として表れるグラフとして、「スパイログラム」と「フローボリューム曲線」は別物なんです。
もちろん「スパイログラム」が有名なので、そちらばかりが授業で強調して教えられているので‥意外と「フローボリューム曲線」が分からない人って多いんですよね。
何より‥わたしがそうでしたから ( ̄∇ ̄|||)
でも‥どちらも臨床でよく使いますので、「フローボリューム曲線」もバッチリ克服していっちゃいましょう!
それでは、看護師国家試験に向けて確かな実力をつけるための勉強を‥ねこ太と一緒にしていきますよ~ヽ(*^^*)ノ
フローボリューム曲線に関する看護師国家試験問題を解いてみよう!
まず以下の1問を解いてみてください♪
看護師国家試験問題(第104回 午前49問)
フローボリューム曲線を図に示す。
慢性閉塞性肺疾患の患者の結果はどれか。
知っていれば‥簡単に解ける問題ですが、知らないと‥かなり迷うと思います。
でも、これを読み終える事には難なく解けますので、安心してくださいね♪
それでは‥ねこ太🐈と一緒に楽しく『広げ学習』をしながら、『知識』と『思考力』をサクッと身に付けていきましょうヽ(*^^*)ノ
『広げ学習』とは1問を解くことを通して、広~く深~く学習をして、3~4問解けるだけの知識を身につけていく学習のことです。(by ねこ太)
「スパイログラム」と「フローボリューム曲線」の共通点と違い
スパイログラム
「スパイログラム」はとても有名なので、よく「スパイログラム=呼吸機能検査(換気機能検査)」というような表現で書かれている文献も多数あります。
もちろんスパイログラムもスパイロメーターという医療機器で得られる結果ではあるのですが‥。
正確には、スパイログラムのことを「呼吸機能分画」といいます。
「分画」というのは、「分割して分けること」を言います。
『一回換気量』『最大吸気量』『肺活量』などと呼吸量を分けているのがそうです。
スパイログラムの縦軸と横軸をみてみましょう!
【スパイログラムの縦軸と横軸】
縦軸⇒肺容量‥単位は(L)
横軸⇒時間‥単位は(秒)
横軸は時間なので‥どの時点で肺にどのくらいの空気が入っているのか‥その移り変わりが分かります。
確かに、時間経過だと「いま吸ってるんだな~」とか、「勢いよく吐いてる!」とかイメージしやすいですよね。
フローボリューム曲線
それに対して、「フローボリューム曲線」とは、残念ながら日本語名はついていません。
でも‥名前を見てみましょう!
「フロー(=流速)」と「ボリューム(=肺気量)」で表される曲線ということです。
【フローボリューム曲線の縦軸と横軸】
縦軸⇒呼気流量‥単位は(L/秒)
横軸⇒肺気量‥単位は(L)
これはどうやってイメージすればいいんだろう?
ちょっと難しいですよね。
これは「肺がどのくらいの膨らみの時に、どのくらいの勢いで息を吐いているか」を表しています。
この時に注意しなければいけない超大切なポイントがあります。
通常のグラフでは横軸は右に行くほど数値は大きくなっていきますね。
でも‥このフローボリューム曲線では‥「横軸の向きが右に行くほど数が小さくなること」です。
つまり、この図は色分けされていますが、どういうことが表されているかというと‥以下の図のようになります。
まず水色部分の①です。
①は普段呼吸しているときに吸ったり‥吐いたりしている呼吸を表しています。
ここでの肺気量の変化は‥!?
そうです!「一回換気量」を意味しますね♪
次に緑色部分の②です。
②は普通に呼吸した後、検査技師さんから「最大限まで大きく息を吸いましょう!」と言われて、大きく息を吸ったのが‥この曲線です。
①の通常呼吸もそうですが、Y軸がマイナスになっていますね。
ちょっと分かりにくいですが‥
Y軸は呼気流量なので‥マイナスという事は「息を吸うこと」を意味しています。
最後に黒色部分の③です。
ここでは、先程最大まで吸った息をイッキに吐いていきます。
それを表したのがこの曲線です。
試験などでは、よくこの③部分の曲線が抜き出されて、「フローボリューム曲線」として提示されたりします。
でも、実際には①~③までの過程すべてが「フローボリューム曲線」です!
わたしも、始めは‥①~③を実際に自分でもやりながら、この曲線をイメージしました。
何回かやっている内に、イメージが出来上がって忘れなくなります♪
ぜひ、やってみてくださいね。
「スパイログラム」と「フローボリューム曲線」の共通点と違い(まとめ)
そして、図の中に「一回換気量」「予備吸気量(IRV)「予備呼気量(ERV)」がでてきましたね。
これはスパイログラムの中でも出てきましたね。
なんかどこかで聞いたことがあるな~って思った♪
そうか‥同じ検査だけど、表し方が違うってそういうことだったのね!
【「スパイログラム」と「フローボリューム曲線」の共通点】
どちらもスパイロメーターという検査機器を使用して行う同じ検査である。
ちなみに‥「スパイロ‥」と似たような名称が沢山出てきますが‥
「スパイロメーター」は検査する機械
「スパイログラム」は検査して得られた結果のグラフ
「スパイロメトリー」は検査自体の名前です。
【「スパイログラム」と「フローボリューム曲線」の違い】
「スパイログラム」は縦軸が「肺気量」と横軸が「時間」
「フローボリューム曲線」は縦軸が「呼気流量」と横軸が「肺気量」
「フローボリューム曲線」の横軸の「肺気量」は原点に近いほど数値が高く(肺気量が多い)、離れるほど数値は低く(肺気量は少ない)なる。
「スパイログラム」で縦軸にあった「肺気量」が‥「フローボリューム曲線」では横軸に来ているのね~。
フローボリューム曲線を読み取る
では、今度は「呼吸機能検査(換気機能検査)」をして得られた結果である「フローボリューム曲線」をどう読み取るかを勉強していきましょう!
まず始めに‥大事な知識をちょっと確認しておきましょう。
下気道の中でも「太い中枢の気道」と「細い末梢の気道」がありますね。
では、息を吐くときに先に出てくるのはどちらでしょう?
そんなの‥中枢側に決まってるじゃないですか~!
その通りです!
つまり‥「フローボリューム曲線」ではどういうことかというと‥以下のことが言えます。呼気の始めは中枢側の気道の状態を‥そして中盤以降は末梢の気道の状態を反映していると言えます。
具体的に‥疾患を例に挙げて考えてみましょう!
喘息
喘息という疾患は、中枢や末梢気道の閉塞を主とする疾患です。
末梢の気道狭窄が強い場合は、始めは強く吐けるのですが、すぐに吐き出しにくくなってしまいます。
そのため、正常な気道の曲線ど比べて‥図のように中盤以降が凹んだグラフになります。
始めは末梢気道だけの狭窄も悪化すると中枢側の気道まで狭窄が強くなります。
その場合は‥呼気の始めの方‥つまりピークフロー(peak flow)も下がってきます。
peakは「頂上」、flowは「流れ」を意味します。
つまりピークフローは「一番流れが速い所」を意味します。
ちょっと余談ですが‥喘息の患者さんがもっているピークフローメーターはピークフロー値だけを計測することができる器具です。
喘息の患者さんは毎朝ピークフロー値を測ることで、中枢部まで狭窄していないか‥病状が悪化していないかを把握しているのね!
肺気腫
肺気腫は、肺胞が壊れて肺の弾力性がなくなると共に、気管支に炎症が起こって気道が狭窄する疾患です。
なので、基本的には先程説明した喘息と同じ様な曲線になります。
何が大きく違うかというと‥肺気腫によって肺気量は正常時よりも大きくなり、同時に残気量も増えますので左側にズレるイメージです。
(その他)中枢の気道が狭窄した場合
気管などの中枢部に硬い喀痰がへばり付いたり、何か餅などが詰まってしまったりなど‥狭窄がある場合には
はじめにあった看護師国家試験問題を解いてみよう!
では、今まで学んできた知識を元に、はじめにあった看護師国家試験問題を見てみましょう♪
看護師国家試験問題(第104回 午前49問)
フローボリューム曲線を図に示す。
慢性閉塞性肺疾患の患者の結果はどれか。
慢性閉塞性肺疾患の患者さんのフローボリューム曲線を見つける問題です。
言い換えれば‥肺気腫の患者さんと考えてよいでしょう!
フローボリューム曲線はどれも、X軸とY軸の「原点」から始まっている!?
そうですね。
肺気腫だったら‥曲線が左側に移動しているかどうかで判断もできましたが‥ここでは曲線の形だけで判断していくことを求められているようですね!
「1」は、正常な人のフローボリューム曲線と考えられそうです。
「2」は中盤以降で急激に呼気流速が下がっており、凹んだ形をしていますね。
また「1」の波形と比べて、ピークフロー値が下がっています。
なので、喘息や肺気腫が考えられます。
たぶん、これが正解かな‥と思いながら、他の選択肢も一応見ていきましょう!
「3」は左側ではなく、右側が呼気流速が早くなっています。
横軸(肺気量)のメモリが右に行くに従って増えるのであれば、これが正解です。
でも、フローボリューム曲線のグラフはそうではないので「×」となります。
これは、グラフの特徴を理解しているかどうかを試す「ひっかけ問題」ですね!
「4」は余り見かけないですが、少し中枢部の狭窄(平坦化)が混ざったような曲線ですね。
中盤以降が下に凹んでいないので、これは違いますね。
答えは、「2」です。
ねこ太オリジナル確認問題
最後に、わたしが作成したオリジナル問題を解いてみましょう!
フローボリューム曲線を図に示す。
予備吸気量を示すのはどれか。
1.①
2.②
3.③
4.④
フローボリューム曲線の中で、「予備吸気量」が問われています。
予備吸気量とは「一回換気量をからさらに吸気可能な最大空気量」のことです。
フローボリューム曲線において、「一回換気量」は①を示しますね。
そこからさらに吸気の方向に進んでいくのはどれでしょうか?
フローボリューム曲線の横軸(肺気量)は特殊で原点に近ずくほど増えるんじゃなかったかな?
だから、①が「予備吸気量」です!
その通りですね!
しっかりフローボリューム曲線の特徴を理解していますね。
③は「予備個器量」そして④は‥何でしょう?
④は呼気流量が一番高くなる時だから‥ピークフロー値を表しているんじゃかったかな‥。
二人ともバッチリですね!
さいごに♪
「フローボリューム曲線」の大きな特徴は‥横軸の「肺気量」は原点に近いほど数値が高く(肺気量が多い)、離れるほど数値は低く(肺気量は少ない)なるということでした。
また中枢側の狭窄ではピークフロー値が低下し、末梢側の狭窄では中盤以降の呼気で下に凹んだ曲線になるということが大事なポイントでしたね!
長くなってしまいましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました!
まずは、看護師国家試験合格‥そしてその先にある臨床で楽しく看護するための『力』をつけていくこと目標に、一緒にがんばっていきましょうo(*^▽^*)o
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コメント
いつも助かっております。ありがとうございます。