こんにちは!ねこ太🐈です。
『発達障害』という言葉‥最近よく聞きますよね。
わたしは、初めて『発達障害』という言葉を聞いたとき、『知的障害』のことかな‥と漠然と思ったりしました。
でも、『知的障害』とは違う病気なんですよね。
そして、『発達障害』が「自閉スペクトラム症」「注意欠陥・多動症」「学習障害」の3つだと知ったときは‥もう訳が分かりませんでした( ̄∇ ̄|||)
そこで‥今回は、発達障害〔自閉スペクトラム症、注意欠陥・多動症、学習障害〕について、一緒にバッチリ克服していきます!
それでは‥看護師国家試験に向けて確かな実力をつけるための勉強を始めていきましょうヽ(*^^*)ノ
発達障害〔自閉スペクトラム症、注意欠陥・多動症、学習障害〕に関する看護師国家試験問題を解いてみよう!
まず以下の2問を解いてみてください。
看護師国家試験問題(第108回 午後30問)
発達障害者支援法で発達障害と定義されているのはどれか。
1. 学習障害
2. 記憶障害
3. 適応障害
4. 摂食障害
看護師国家試験問題(第101回 午前74問)※一部改変
自閉スペクトラム症に特徴的なのはどれか。
1. 重篤な不安発作が繰り返される。
2. ボディイメージ<身体像>の障害が認められる。
3. 非言語的コミュニケーションが適切にとれない。
4. 声にしていない自分の考えが周囲に伝わるように感じる。
看護師国家試験問題(第108回 午前67問)
注意欠如・多動性障害〈ADHD〉の症状はどれか。
1. 音声チックが出現する。
2. 計算を習得することが困難である。
3. 課題や活動に必要なものをしばしば失くしてしまう。
4. 読んでいるものの意味を理解することが困難である。
この問題を解くためには、発達障害である『自閉スペクトラム症』『注意欠陥・多動症』『学習障害』それぞれの特徴についての知識が必要そうですね♪
それでは‥ねこ太🐈と一緒に楽しく『広げ学習』をしながら、『知識』と『思考力』をサクッと身に付けていきましょうヽ(*^^*)ノ
『広げ学習』とは1問を解くことを通して、広~く深~く学習をして、3~4問解けるだけの知識を身につけていく学習のことです。(by ねこ太)
発達障害
まず『発達障害』とはどういった病気なのか‥定義をみてみましょう!
【発達障害の定義】
生まれつき脳の発達に障害があることで、「言葉の発達」「対人関係」「学習」「集団生活」などに支障を生じる精神障害の総称
それに対して、『知的障害』の定義もみてみましょう。
【知的障害の定義】
知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に支障が生じているため、何らかの特別の支援を必要とする状態にあるもの
※医学的には『精神遅滞』と言われれる。
『知的障害』の原因としては‥出生前(遺伝的要因・母体の感染症や薬物の影響)、出生後(頭部外傷・養育環境)などがあります。
『知的障害』があると‥知的能力の発達が全般的に遅いため、言葉の発達も遅れます。
それに対して、『発達障害』は一部の知的能力の障害(もしくは偏り)があります。
一応‥知的障害と発達障害は違うものですが‥。
『DSM-5(精神障害の診断・統計マニュアル第5版』では、どちらも同じ神経発達症群(神経発達障害群)にまとめられているという似ている部分もあります。
自閉スペクトラム症(ASD)
自閉スペクトラム症(ASD:Autism Spectrum Disorder)は、少し前まで「広汎性発達障害」とも言われていました。
『自閉症スペクトラム障害』とも言います。
「広汎性」とは「広い範囲」を意味しますが、実は以下の3つの類似疾患(自閉症・高機能自閉症・アスペルガー症候群)が合わさって統合された病名です。
原因は未だ不明ですが、生まれつきの脳機能の異常によると考えられています。
親の育て方などが原因ではないと言われています。
自閉スペクトラム症は、人口の約1%で、男性に多い(女性の約2~4倍)と言われています。
多くは3歳前の乳幼児期に症状が現れ始めます。
症状としては、人とのコミュニケーションが苦手で、反復的行動様式を示すのが特徴です。
具体的な特徴(症状)は以下のようになります。
【自閉スペクトラム症の特徴】
・言葉は覚えられていても、人とのコミュニケーションが少ないため、十分に言葉を使いこなすことができず「おうむ返し」や同じフレーズを繰り返し言ったりすることが多い。
・非言語的なコミュニケーション(視線・表情・身振り・距離感など)の理解・活用が難しい。
・人への興味や関心が乏しく、場の空気を読んだり、相手の立場や気持ちを理解することが難しいため、情緒的・相互的な人間関係を築けないことが多い。
・興味のある事が限られており、遊びや動作は同じことを反復的に繰り返すことが多い。
・音、におい、光など感覚刺激に対して過敏もしくは鈍感なことがある。
※自閉症スペクトラム症は、知的能力障害を伴うこともあるが、アスペルガー症候群では言語の発達の遅れも比較的少なく、知的能力は正常の場合が多い。
自閉スペクトラム症の人たちは、その特性を周囲の人に理解してもらいにくいため、失敗を繰り返したり、いじめに合ったりすることがあります。
そのため身体症状(頭痛や食欲不振、チックなど)や精神症状(不安・緊張、うつなど)、社会的な問題行動(不登校、暴力、自傷行為など)などの二次的な問題を起こしたりします。
自閉スペクトラム症の人に対する治療や支援については、以下のようになります。
【自閉スペクトラム症の治療と支援】
・状況によって薬物療法(抗不安薬、抗精神病薬など)が使われます。
・支援としては、当事者の特性を家族や周囲の人が理解し、本人が感じている「生きづらさ」を軽減していき、二次的な問題を最小限にする。
自閉スペクトラム症に限らず、発達障害全般に対して言えることですが、障害を個性や特性として捉え、その人(子)に合った関わりをしていくことが大切です。
注意欠陥・多動症(ADHD)
注意欠陥・多動症は「Attention Deficit Hyperactivity Disorder」といい、『ADHD』と言われることも多いです。
原因は未だ不明ですが、生まれつきの脳機能の異常と考えられている。
親の育て方などが原因ではないと言われています。
注意欠陥・多動症は、人口の約3%で、男性に多い(女性の約3~5倍)と言われています。
多くは12歳以前に症状が現れ始めます。
症状としては、忘れ物が多い(不注意)であったり、落ち着きがない(多動性)、行動を抑制するのが困難(衝動性)の3つが主な特徴です。
具体的な特徴(症状)は以下のようになります。
【注意欠陥・多動症の特徴】
・ミスや忘れ物、紛失が多い。
・注意や集中力が持続せず、1つの物事に長時間取り組むことが難しい。
本人としては真剣に取り組んでいても、周囲からは怠けているように見られてしまうことがあります。
・学校の授業では長時間椅子に座って授業を受けることが難しい。
・貧乏ゆすりを繰り返す。
・深く考えずに行動に移してしまう。(相手のことを考えず、思ったことをパッと言葉に出してしまうなど)
注意欠陥・多動症の人は他の発達障害と同じ様に、失敗を繰り返したり、問題行動ととられてしまうことで二次的な問題が生じてしまうことがあります。
また時に周囲の人から厳しく指導されたりするなどの危機的状況から『素行症』などを併発するリスクがあることも言われていたりします。
治療については、注意欠陥・多動症の人は脳の中で、ドーパミンやノルアドレナリンが少ないことが分かっています。
そのため、ドーパミンやノルアドレナリンを増やす薬が使われたりします。
【注意欠陥・多動症の治療と支援】
・治療には中枢神経刺激薬が使われます。
中には、アンフェタミン・メタンフェタミンなど覚せい剤に分類されるような薬もあります。
・状況によって薬物療法(抗不安薬、抗精神病薬など)が使われます。
・支援としては、落ち着いて考えながら取り組むことを練習(自己教示訓練)したり、人との関わり方を学ぶ(SST:ソーシャルスキルトレーニング)。
・家族や学校の先生などと協力して(環境を整える)、子どものよい行動を引き出し、できたことを褒める。
学習障害(LD)
学習障害は英語で「LD:Learning Disabilities」といい、DSM-5では『限局性学習症』と言われています。
原因は未だ不明ですが、生まれつきの脳機能の異常と考えられている。
学習障害をもつ人は、学齢期の子どもにおいて約5~15%と言われています。
性別による差については、調べた限りでは書かれていませんでした。
学習障害は、学習を始めるようになってから症状が現れるため、小学校に入るまでは分からないことが多いです。
症状としては、読む・書く・計算する能力に障害があり、人のよってどの能力が障害されているか‥症状の現れ方も様々です。
具体的な特徴(症状)は以下のようになります。
【学習障害の特徴】
3つのタイプ⇒読字障害タイプ、書字障害タイプ、算数障害タイプ
〔読字障害]
・ひらがなの音読が遅く、よく読み間違える。
・読んでいる文字や文章の意味を理解することが難しい。
〔書字障害〕
・書き写しの速度が他の子と比べて極端に遅い。
・考えや思いを書いて表現することが難しい。
〔算数障害〕
・数に関する理解が難しい。
・計算をよく間違える。
特定の能力が障害されているだけで、その他の発達の遅れは見られないため、周囲からは「努力が足りない」などと思われてしまいがちです。
そのため支援が受けられないまま、結果的に子どもの自信の低下、さらには不安・緊張やうつなどの二次的な問題につながってしまうこともあります。
学習障害の人に対する治療や支援については、以下のようになります。
【学習障害の治療と支援】
・状況によって薬物療法(抗不安薬、抗精神病薬など)が使われます。
・支援としては、不得意な部分を見つけ、その人(子)に合った学習方法を探りながら、焦らずにゆとりをもってサポートする。
発達障害支援法
発達障害者支援法の目的は、以下の通りです。
発達障害の早期発見と早期支援の体制を地方自治体が作ること
発達障害者の自立及び社会参加のための支援により、障害による差別のない共生社会を実現させること
具体的には以下のようなことが述べられています。
【発達障害支援法で押えるべきポイント】
・発達障害とは自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの
・発達障害に関する相談、早期発見、早期支援の中心となる機関として発達障害者支援センターを位置づけている。
・都道府県・政令指定都市は発達障害者支援センターを設置する。
・国民は、発達障害に関する理解を深め、発達障害者の自立と社会参加に協力するように努めなければならない。
はじめにあった看護師国家試験問題を解いてみよう!
では、今まで学んできた知識を元に、はじめにみた看護師国家試験問題を解いていきましょう♪
看護師国家試験問題(第108回 午後30問)
発達障害者支援法で発達障害と定義されているのはどれか。
1. 学習障害
2. 記憶障害
3. 適応障害
4. 摂食障害
発達障害者支援法における『発達障害』の定義は以下のようになっていました。
発達障害とは自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの
自閉スペクトラム症では、知的障害がある場合があり、その場合は「2.記憶障害」もあると考えられますが、直接的には含まれません。
また「3.適応障害」は二次的な問題として併発する可能性がありますが、これも直接的には関係ありません。
最後の「4.摂食障害」についても関係はなさそうですね。
なので‥答えは「1」です。
看護師国家試験問題(第101回 午前74問)※一部改変
自閉スペクトラム症に特徴的なのはどれか。
1. 重篤な不安発作が繰り返される。
2. ボディイメージ<身体像>の障害が認められる。
3. 非言語的コミュニケーションが適切にとれない。
4. 声にしていない自分の考えが周囲に伝わるように感じる。
「1. 重篤な不安発作が繰り返される。」
「不安発作」は自閉スペクトラム症の症状ではなく、二次的な問題として起こることがあります。
なので‥「×」ですが、一応「△」として他の選択肢もみてみましょう。
「2.ボディイメージ<身体像>の障害が認められる。」
ボディイメージの障害は『神経性やせ症』などの人によく見られる障害です。
『神経性やせ症』の人は「自分の体が醜い」と思い込んでしまう身体醜形障害をもっていることが多いと言われています。
「3.非言語的コミュニケーションが適切にとれない。」
自閉スペクトラム症の人は、非言語的なコミュニケーション(視線・表情・身振り・距離感など)の理解・活用が難しかったりする面があります。
なので‥「3」は「〇」です。
「4.声にしていない自分の考えが周囲に伝わるように感じる。」
これは統合失調症でよく見られる「考想化声」と言われる症状ですね。
自閉スペクトラム症にはありませんので、「×」です。
ということで、答えは、「3」です。
看護師国家試験問題(第108回 午前67問)
注意欠如・多動性障害〈ADHD〉の症状はどれか。
1. 音声チックが出現する。
2. 計算を習得することが困難である。
3. 課題や活動に必要なものをしばしば失くしてしまう。
4. 読んでいるものの意味を理解することが困難である。
「1.音声チックが出現する。」
『チック』というのは、本人の意思とは関係なく繰り返し起きてしまう不規則な体の動き(運動チック)や発声(音声チック)のことです。
運動チックには、まばたき、顔をしかめる、口をゆがめるなどがあります。
また音声チックには、単語を発声するだけでなく、咳払い、鼻や舌を鳴らしたりします。
原因は不明ですが、脳の機能異常や緊張や不安などのストレスが誘因となることが多いと言われています。
注意欠如・多動性障害の症状にはありませんが、二次的な問題として起こることはあります。
なので‥「×」ですが、一応「△」として他の選択肢もみていきましょう!
「2.計算を習得することが困難である。」
計算を習得することが困難とするのは「学習障害」でしたね。
注意欠如・多動性障害でも、授業に集中できないことで、二次的に学習が遅れたりすることはあるかもしれませんが、直接的な症状ではありません。
なので‥「×」ですが、一応これも「△」として他の選択肢もみていきましょう!
「3.課題や活動に必要なものをしばしば失くしてしまう。」
注意欠如・多動性障害では注意不足によって忘れ物や紛失が多かったりしますので、これは「〇」です。
最後の「4.読んでいるものの意味を理解することが困難である。」
注意欠如・多動性障害では知的能力の低下はありません。
読んでいるものの意味の理解が困難なのは‥「学習障害」の「読字障害」でしたね。
「4」は「×」です。
よって、答えは、「3」です。
ねこ太オリジナル確認問題
最後に、わたしが作成したオリジナル問題を1問解いてみましょう!
自閉スペクトラム症にみられるのはどれか。2つ選びなさい。
1.学童期になって発見されることが多い。
2.こだわりが強く、反復的に同じ動作を繰り返すことがある。
3.衝動的な行動が目立つ。
4.男性に多くみられる。
5.親の厳しいしつけなど後天的な要因で発症することが多い。
5肢択2問題ですね‥なので、ちょっと難易度は上がりますが、ここまで勉強してきたので大丈夫なはずです。
「1.学童期になって発見されることが多い。」
自閉スペクトラム症は主に乳幼児期の間に気づかれることが多く、学童期に気づかれることが多いのは‥「学習障害」でしたね。
「1」は「×」です。
「2.こだわりが強く、反復的に同じ動作を繰り返すことがある。」
自閉スペクトラム症では、同じフレーズを多用したり、行動でもこだわりが強く、反復した動作を繰り返す特徴がありました。
なので、「〇」です。
「3.衝動的な行動が目立つ。」
衝動的な行動を特徴とするのは「注意欠陥・多動症」でしたね。
自閉スペクトラム症でも二次的な問題が生じれば‥見られるかもしれませんが、症状としては言えないので、「×」です。
「4.男性に多くみられる。」
「自閉スペクトラム症」も「注意欠陥・多動症」も共に男性に多いのが特徴でしたね。
なので、これは「〇」です。
「5.親のしつけなど後天的な要因で発症することが多い。」
発達障害には「自閉スペクトラム症」「注意欠陥・多動症」「学習障害」の3つがありましたが、どれも生まれつきの脳の機能異常が原因として考えられています。
親は子供が発達障害と分かった際に、自分たちのことを責めてしまいがちですが、親のしつけは関係はないと言われています。
看護師として関わる際も、両親の思いを受け止めつつも「親の関わり」が原因ではないことをしっかりと伝えていきたいですね!
なので、これは「×」となります。
答えは、「2」「4」です。
さいごに‥まとめ♪
長くなってしまいましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました!
まずは、看護師国家試験合格‥そしてその先にある臨床で楽しく看護するための『力』をつけていくこと目標に、一緒にがんばっていきましょうo(*^▽^*)o
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