こんにちは!ねこ太🐈です。
「甲状腺ホルモン」「副甲状腺のホルモン」って、「何だったかな~」ってなったりしませんか?
わたしは物覚えが悪かったので、何度もありました‥( ̄∇ ̄|||)
「甲状腺から分泌されるホルモンって1つだけだったかな?」
「どんな働き?」
「そういえば‥副甲状腺ホルモンは?」‥etc
たくさん疑問が湧いてきます♪
今回は、そんな「甲状腺ホルモン」「副甲状腺のホルモン」について、バッチリ克服していきたいと思いますヾ(≧∇≦*)/
甲状腺・副甲状腺のホルモンに関する問題を解いてみよう!
まず下の1問を解いてみましょう!
看護師国家試験問題(第107回 午後86問)
甲状腺ホルモンの分泌が亢進した状態の身体所見について正しいのはどれか。2つ選べ。
1.徐 脈
2.便 秘
3.眼球突出
4.皮膚乾燥
5.手指振戦
この問題‥結構難しいですよね。
確実に自信をもって解ける人は偏差値70くらいの力があると言えるでしょう!
この問題を解くための学習を通して、『甲状腺・副甲状腺』について広く、深く学んでいきたいと思います。
それでは‥ねこ太🐈と一緒に楽しく『広げ学習』をしながら、『知識』と『思考力』をサクッと身に付けていきましょうヽ(*^^*)ノ
甲状腺の構造と機能
まず、『甲状腺・副甲状腺』の構造と機能についてみていきましょう!
甲状腺の構造と機能
甲状腺は首の前、のどぼとけ(甲状軟骨)の下方にある臓器です。
甲状腺は図のように、蝶々が羽を広げたような形をしています。
上の図では3番目の気管軟骨くらいまで甲状腺が覆っていますが、実際は1~2番目くらいまでです。
ちなみに‥気管切開をする場合は甲状腺を避けて、3番目と4番目の気管軟骨を切開してカニューレを挿入していきます。
甲状腺は、主に濾胞細胞(濾胞という袋を形成している上皮細胞)と、濾胞の裏にある傍濾胞細胞の2種類の細胞からなっています。
『傍』という漢字は訓読みで「かたわら」‥つまり『そば』ってことでしたよね。濾胞細胞の直ぐそばにあるってことですね!
その通りです。そう覚えると忘れにくいですね!
この2つの細胞‥とても大事なので覚えていきましょう!
そして、この濾胞の中には、『濾胞細胞』から分泌されたサイログロブリンという物質が貯められています。
サイログロブリンはトリヨードサイロニン(T3)、サイロキシン(T4)というホルモンの材料となる物質です。
もう少し詳しく言うと‥ペルオキシダーゼという酵素の働きで、ヨウ素と結びつくことで作られます!
ヨウ素が3つくっつくと‥『トリヨードサイロニン』 ※トリは3を意味するギリシャ語です。
ヨウ素が4つくっつくと‥『サイロキシン』
ちなみに‥甲状腺のことを『thyroid(サイロイド)』といいます。
甲状腺ホルモンというと、トリヨードサイロニン(T3)、サイロキシン(T4)を指します。
サイロキシン(T4)は、トリヨードサイロニン(T3)の20倍多く作られます。
またこの2つのホルモンは、作用は同じですが、活性(効果の強さ)はトリヨードサイロニンの方が高い(約5~8倍)です。
サイロキシン(T4)は肝臓や腎臓における脱ヨード反応によって、トリヨードサイロニン(T3)に変換されます。
この2つのホルモンの標的組織はほぼ全身の臓器・組織であるため、全身に対して様々な作用を及ぼします。
甲状腺ホルモンの働きについては、とても重要なので次の【甲状腺ホルモンの働き】で、バッチリ押えちゃいます!
甲状腺については、これで終わりかというと‥そうではありません。
実は‥甲状腺はもう一つホルモンを分泌しています。
それは、『傍濾胞細胞』から分泌される『カルシトニン』です!
このカルシトニンの働きは血液中のCa2+(カルシウムイオン)濃度を下げる働きをしています!
どのように下げるかというと‥
【カルシトニンの働き】
・骨組織に作用して、破骨細胞による骨吸収(骨を分解してCa2+を血中に溶かす)を抑制
・腎臓に作用して、腎臓からのCa2+排泄を促進させる
実は、骨粗しょう症の薬に『エルシトニン』という薬があります。
名前が、カルシトニンににていますよね!これは合成カルシトニン製剤といって、人工的に作ったカルシトニン類似物質です。
その事を知っていると‥カルシトニン(≒エルシトニン)は骨粗しょう症を予防するから、骨を強くする働きがある⇒骨吸収を抑制‥と覚えられます!
こうすると、忘れても捻(ひね)りだせるので、知識をつなげて覚えるって大切ですね♪
甲状腺ホルモンの働き
甲状腺ホルモンの働きは多岐に渡るので、ここで整理しながら覚えていきましょう!
大きく4つにまとめてみました♪
実は、細かいことを挙げれば他にもありますが、ここから派生して現れてくる症状が多いので、まずはこれを押えておけば‥看護師国家試験はバッチリでしょう♪
【甲状腺ホルモンの働き】
①熱産生⇒ほぼ全ての臓器の代謝(異化)がアップ(脂肪・筋たんぱくも分解されてやせる)し、酸素消費量も増加(心拍数・心収縮も促進)する。
②成長・発育
③糖代謝⇒腸からの糖の吸収を促進、交感神経などの働きを強め糖新生を活性化
④神経系を刺激
⇒中枢神経⇒思考の回転アップ・精神的被刺激性の上昇(イライラ・不安)
⇒末梢神経⇒腱反射の反応時間が短縮
では、さらにこの4つの症状から派生する細かい症状を押えていきます。
甲状腺ホルモンの分泌が亢進した場合、低下した場合に分けて、お互いに対比させていくと覚えやすいです。
丸暗記というよりはある程度は理屈で納得しながら、イメージを膨らませていきましょう!
この中で、月経については、甲状腺ホルモンが卵胞の成長に関与しているため、甲状腺ホルモンが多いと卵胞の成長が早まり、過多月経(月経が多い)になります。
しかし、他方で、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されて短期間で体重減少が起こったりすると‥卵巣機能が一時的に低下して稀発月経(月経が少ない)となることもあります。
逆に甲状腺ホルモンが少ないと卵胞が育たず、稀発月経(月経が少ない)となります。
『甲状腺ホルモンが多い』『甲状腺ホルモンが少ない』どちらにも共通するのは‥
「倦怠感・疲労しやすい」「髪の毛が抜けやすい」「むくみ(浮腫)みやすい」
(疲労感について)
甲状腺ホルモンが多いと‥エネルギーを消費して疲れやすそうですね‥。
逆に、甲状腺ホルモンが少ないと‥エネルギーを使えず疲れてしましそうですね‥。
(髪の毛について)
甲状腺ホルモンが多いと‥新陳代謝が活発でエネルギーを消費しすぎてしまい、髪の毛が育たず抜けてしまいそうですね‥。
逆に、甲状腺ホルモンが少ないと‥新陳代謝が上手くできず、髪の毛が育たず抜けてしまいそうですね‥。
(浮腫について)
甲状腺ホルモンが多いと‥低アルブミン血症によって浮腫が現れる。
逆に、甲状腺ホルモンが少ないと‥糖が皮下に沈着してしまい、非圧痕性の浮腫(粘液水腫)が現れる。
一気に覚えるのはキビシイですよね‥。何度も忘れては覚えるを繰り返していきましょう。
わたしも未だに覚えきれていないですよ😿。だから、焦らないで大丈夫👍。
甲状腺の構造と機能(まとめ)
甲状腺については、このくらい知っておくと、バッチリです!
では、量も多く、ちょっと複雑でしたので、ここで一度ザックリと整理してみましょう!
わたしは下のような感覚で甲状腺の解剖生理の大枠を押えています。
【甲状腺の解剖生理まとめ】
甲状腺にはいくつも袋があって、その袋を『濾胞』という。
濾胞を形作っているのが『濾胞細胞』で、その傍らに『傍濾胞細胞』がある。
『濾胞細胞』からはトリヨードサイロニン(T3)、サイロキシン(T4)が分泌される。
⇒ホルモンの働きは、①熱産生、②成長・発達、③糖代謝、④神経系を刺激
『傍濾胞細胞』からは『カルシトニン』が分泌される。
⇒ホルモンの働きは、血中のCa2+(カルシウムイオン)濃度を下げる
副甲状腺の構造と機能
副甲状腺の位置と構造
では、次に副甲状腺について学んでいきましょう!
副甲状腺は甲状腺の背面‥離れたところに4つある不思議な臓器です。
そして、大きさは3~6ミリで、重さは30~40㎎‥人の眼で見える『最小の臓器』と言われています!
位置は甲状腺の背面‥上下左右の4ヶ所です。
この副甲状腺の働きは何か‥甲状腺と同じくホルモンを分泌しています。
ホルモンの名前は「副甲状腺ホルモン」ですが、他に3つ呼び方があります。
【副甲状腺ホルモンの別の呼び方】
パラソルモン(parathormone)もしくは上皮小体ホルモン、PTH(parathyroid hormone)
一応、どれも良く使いますので覚えちゃいましょう!
このホルモンは、血中のCa2+(カルシウムイオン)濃度を上げる働きをしています!
えっ、それってまさか‥
カルシトニンと全く反対‥
そうなんです!
パラソルモンもカルシトニンも、血漿中のカルシウムイオン濃度に関与するという共通点がありながら、作用はお互いに真逆なんです。
こんな近くの臓器同士で、作用が全く反対なんて面白いですね!
この2つのホルモンで骨の新陳代謝も、血中のカルシウムイオン濃度もいい具体に調整して、バランスをとっているのね!
ちなみに‥カルシウムの99%は骨や歯にあります。残りの1%は軟部組織や細胞外液中に存在していて、血液中にはわずか0.1%しか存在しません。
【副甲状腺ホルモンの働き】
・骨組織に作用して、破骨細胞による骨吸収(骨を分解してCa2+を血中に溶かす)を促進
・腎臓に作用して、腎臓からのCa2+再吸収を促進させる
ちなみに‥血漿中のカルシウムイオン濃度が上がったり、下がったりすると‥どうなるのか?
【血漿中のカルシウムイオン濃度】
8.6~10.2 mg/dL
高い場合⇒便秘、吐き気、嘔吐、腹痛、食欲不振。重度の場合は筋力低下や不整脈。
低い場合⇒神経や筋肉の興奮性が亢進して、全身の筋肉が痙攣する(テタニー)
副甲状腺腫などによって、ホルモン分泌が亢進すると、高カルシウム血症となります。
甲状腺の手術などで、副甲状腺も一緒に切除してしまったりすると‥副甲状腺の機能低下を起こし、低カルシウム血症からテタニーを起こすことがあったりしますよ。
看護師国家試験問題の解説!
では、今まで広げ学習してきたことを元に、問題を見てみます。
看護師国家試験問題(第107回 午後86問)
甲状腺ホルモンの分泌が亢進した状態の身体所見について正しいのはどれか。2つ選べ。
1.徐 脈
2.便 秘
3.眼球突出
4.皮膚乾燥
5.手指振戦
「甲状腺ホルモンの分泌が亢進した状態」と言われていますので、『甲状腺ホルモンの働き』を思い出してみましょう!
4つありましたね~。
そうです‥①熱産生、②成長・発達、③糖代謝、④神経系を刺激でした。
選択肢「1.徐 脈」はどうでしょう?①熱産生で身体の中で代謝が亢進するため、心拍数も心収縮力も上がりますので、脈拍に関しては頻脈傾向に働きますね。
実は「代謝が亢進するから」という理由だけでなく、甲状腺ホルモンがカテコラミンの作用を高めるという面もあったりします。そいう形で覚えてもOKですね!
なので、「1.徐 脈」は「×」です。
「2.便 秘」はどうでしょうか?
ちょっと難しいですね~。
ここで、飛ばして次の選択肢を見るのもOKですが、ここではこのまま考えていきます!
甲状腺ホルモンは全身に影響を与えますが、以下のことが明らかになっています。
【甲状腺ホルモンと消化管】
甲状腺ホルモン分泌が亢進⇒軟便
甲状腺ホルモン分泌が低下⇒便秘
機序は調べた限り明らかになっておりません。
しかし、考えてみると代謝が活発になって熱産生をする訳ですから、当然栄養をどんどん取らなければいけません。
そうすると‥食欲は増進するだろうし、消化(吸収)機能も亢進するだろう‥ということで、蠕動も活発になりすぎてしまい、結果として軟便になりやすい!!
逆に、甲状腺ホルモン分泌が低下した場合は、食欲も低下して、消化(吸収)機能も低下して便秘になるだろう!!
…ということです。
消化管に関しては、甲状腺ホルモンは代謝を活発にするために、消化管の蠕動運動を高めると覚えておきましょう!
「2.便 秘」は甲状腺ホルモンの分泌が低下した場合の症状ですから、「×」ということになります。
「3.眼球突出」って特徴的な言葉‥ときどき見かけますよね。
これは、バセドウ病(甲状腺機能が亢進する疾患)の症状です。
つまり、これは「〇」かな~!?ということになります。
ねこ太せんぱい!『眼球突出』なんて、それに近いようなことは、4つの症状の中にないじゃないですか~!!
ごめんなさい‥。これには深くはないけど、浅くもない‥それなりの理由があるのです。
なぜ、眼球が突出するのか‥!?
これは、まだはっきりと機序が明らかになっている訳ではありません。
でも‥「眼球突出」はバセドウ病に特有の症状としてよく出てきますよね。
バセドウ病は簡単にいうと「甲状腺ホルモンを出す細胞のTSH受容体に対する自己抗体が原因の疾患」です。
この自己抗体がTSH受容体にくっついてしまい、刺激し続けることで、甲状腺ホルモンが多量に分泌されてしまう訳です。
ちょっと不思議ですけど‥自己抗体が甲状腺を攻撃して甲状腺ホルモンの分泌が低下してしまうのではないのですね!
確かに‥ちょっと変な感じがしますよね~。
わたしは、下の図のような感じで覚えています♪
「眼球突出」は眼窩の中、眼球の奥にある外眼筋とその周囲の脂肪組織の炎症による腫れが原因です。
この炎症の原因は、現在、甲状腺ホルモンの分泌亢進というよりも、TSH受容体に対する自己抗体と考えられています。
なので、その考えでいくと‥「眼球突出」が「甲状腺ホルモンの分泌が亢進した状態の身体所見」という表現は余り適切ではないということになります。
なので、わたしなら、「3」はとりあえず「△」判定をして、他の選択肢をみる!と判断していきます。
「4.皮膚乾燥」はどうでしょう?
甲状腺ホルモンの分泌が亢進すると、新陳代謝が活発になるため、汗をかくことで汗疹(あせも)ができやすくなります。
また皮脂が多くなって、ニキビができやすかったりもするので、皮膚の清潔を保つことも看護としては大切になってきます。
また甲状腺ホルモンは皮膚色素メラニンと構造が似ているため、肌が黒くなることもあります。
なので、皮膚乾燥というよりは、「皮膚の湿潤」といえるので、「4.皮膚乾燥」は「×」です。
最後の「5.手指振戦」です。
これも、バセドウ病の症状の1つです。
甲状腺機能亢進症による手指の震えは、生理的振戦が増強した状態と考えられています。
『生理的振戦』とは
寒さや過度の緊張、重いものを持ち続けた時などに一時的にみられる震え。
動作時、特に手を挙げたときなど姿勢を維持する際にみられる細かい震えが現れます。
わたしは、「④神経系を刺激」と関連させて、筋肉の緊張が高まりやすいと考えて覚えています。
答えは、「3」と「5」です。
ねこ太オリジナル確認問題
最後に、わたしが作成したオリジナル問題を解いてみましょう!
甲状腺から分泌されないホルモンはどれか。2つ選びなさい。
1.上皮小体ホルモン(パラソルモン)
2.トリヨードサイロニン
3.カルシトニン
4.コルチゾール
5.サイロキシン
問題文をよく読むと「甲状腺から分泌されない」とありますので、注意して選択していきましょう!
甲状腺は英語で‥『thyroid(サイトロイド)』といいましたね。なので、「サイロ」というのは、甲状腺ホルモンっぽいですよね。
甲状腺ホルモンは、「濾胞細胞」から分泌されるトリヨードサイロニン(T3)、サイロキシン(T4)でした。
また甲状腺の「傍濾胞細胞」から分泌されるカルシトニンもありました。
なので、「2」「3」「5」以外‥つまり正解は「1.上皮小体ホルモン(パラソルモン)」「4.コルチゾール」となります。
順番に見ていきましょう!!
「1.上皮小体ホルモン(パラソルモン)」は副甲状腺から分泌されるホルモンでしたね。
「4.コルチゾール」は、これは副腎皮質から分泌されるホルモン‥世にいう『ステロイドホルモン』の代名詞と言われるようなホルモンです。
さいごに♪
いかがでしたでしょうか?
ここまで読まれたあなたは『甲状腺・副甲状腺のホルモン』について確実に理解が深まっています!
解剖生理が分かると、今度は疾患のことも分かるようになります!
甲状腺・副甲状腺の疾患についても、機会があれば‥取り上げていきたいな~と思っています♪
長くなってしまいましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました!
まずは、看護師国家試験合格‥そしてその先にある臨床で楽しく看護するための『力』をつけていくこと目標に、これからも一緒にがんばっていきましょう(≧∇≦*)!
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