こんにちは!ねこ太🐈です。
検査データはもちろん、「交差適合試験」「不規則抗体」とか‥輸血に関する臨床検査って、かなり複雑で分かりにくいですよね‥。
でも病院では輸血ってよくしているよね。
それに‥輸血を実施するのは看護師だよね。
なので‥理解しておく必要があります。
つまり看護師国家試験にもよく出題されるということです。
今回は、その中で最も大切かつ基本的な『ABO式血液型』とその検査である『オモテ試験』『ウラ試験』について、一緒にバッチリ克服していっちゃいましょう!
看護師国家試験に向けて確かな実力をつけるため勉強をしていきますヽ(*^^*)ノ
※「交差適合試験」「不規則抗体」については下記の記事で詳しく説明していますので、良かったらご覧くださいね!
ABO式血液型とオモテ試験・ウラ試験に関する看護師国家試験問題を解いてみよう!
まず以下の2問を良かったらトライしてみてくださいね♪
看護師国家試験問題(第111回 午後28問)
ABO式血液型におけるオモテ検査とウラ検査の結果の表を示す。
血液型判定の結果がO型となるのはどれか。
1. ①
2. ②
3. ③
4. ④
看護師国家試験問題(第105回 午後27問)
血液型で正しいのはどれか。
1.日本人の15%はRh(-)である。
2.A型のヒトの血漿には抗B抗体がある。
3.B型のヒトの赤血球膜表面にはA抗原がある。
4.クームス試験(Coombs)でABO式の血液型の判定を行う。
1問目はABO血液型の検査に関する問題で、確実に解いていきたい所です。
2問目については、ちょっと難しい「Rh血液型」「クームス試験」といった不規則抗体に関する内容も入っていますが‥これも解いていきたい問題です。
それじゃあ、今回は「Rh血液型」「クームス試験」も広げて勉強していきますか?
そうですね‥。
本当は一緒に勉強していきたい所ですが‥いっきにそこまで広げると頭が混乱してしまうので、今回は「ABO血液型」に絞っていきます!
でも‥「Rh血液型」「クームス試験」って、輸血に関わる看護師にとって、とても大切なことなので、どこかで必ずやっていきます!
お楽しみにしていてください♪
それでは‥ねこ太🐈と一緒に楽しく『広げ学習』をしながら、『知識』と『思考力』をサクッと身に付けていきましょうヽ(*^^*)ノ
『広げ学習』とは1問を解くことを通して、広~く深~く学習をして、3~4問解けるだけの知識を身につけていく学習のことです。(by ねこ太)
ABO式血液型
血液型って「ABO式血液型」以外に何種類あるか知っていますか?
う~ん、「ABO式血液型」の他には‥「Rh」もあったから‥2種類かな?
実は、血液型はABO式以外にも41種類(2021年時点)あると言われています。
その中で、輸血する際に一番大事なのが「ABO式血液型」です。
ランドシュタイナーの法則
【ABO式血液型の発見】
1900年(明治33年)に、オーストリアのカール・ランドシュタイナーという人が、ある人の血清に他人の赤血球を混ぜると、固まる場合と固まらない場合があることを発見しました。
このランドシュタイナーが発見した法則のことを『ランドシュタイナーの法則』と言います。
血液型の正体‥「ランドシュタイナーの法則」の正体は‥『抗原-抗体反応』です。
まずは、このことを覚えておきましょう!
『ランドシュタイナーの法則』が具体的にどういったことか表したものが下記の表です。
この『ランドシュタイナーの法則』は看護師国家試験でも出てくる有名なものです。
でも、ぼく自身これを完全に覚えている訳ではありません。
でも、いつでも表を正しく埋めることはできます。
なぜかというと‥考え方を理解しているからです。
いまから一緒に理解して覚えるということをやっていきましょう!
血液は大きく分けて、個体成分の「血球」と液体成分である「血漿(血清)」の2つがありますね。
ちなみに‥「血清」と「血漿」の違いは、血液凝固因子(フィブリノゲン)を含むかどうかです。
血液から血球成分以外の液体成分が「血漿」です。
また血液を凝固させた後にできた(血液凝固因子を使った後の)液体成分を「血清」といいましたね。
どちらに「抗原」があると思いますか?
う~ん、ふつう抗体は血漿の中を流れているんだから‥「血球」じゃないかな。
その通りです!
「血球」‥輸血に関して言いうと「赤血球」に抗原があります。
ABO式血液型における抗原
実は「ABO式血液型」での抗原は2種類しかありません。
「A型」の人の赤血球にある抗原を「A抗原」、「B型」の人の赤血球にある抗原を「B抗原」と名づけました。
では、1つずつ‥各血液型について見てみましょう!
血液型A型の人の血液(抗原と抗体)
「A型」の人は、赤血球に「A抗原」をもっています。
また血清(血漿)中には「抗B抗体(B抗原に対する抗体)」をもっています。
「A抗原」と「B型抗体」では抗原-抗体反応(凝集反応)は起こりません。
血液型B型の人の血液(抗原と抗体)
「B型」の人は、赤血球に「B抗原」をもっています。
また血清(血漿)中には「抗A抗体(A抗原に対する抗体)」をもっています。
「A抗原」と「B型抗体」では抗原-抗体反応(凝集反応)は起こりません。
血液型AB型の人の血液(抗原と抗体)
「AB型」の人は、赤血球に「A抗原」と「B抗原」の両方をもっています。
また逆に血清(血漿)中には「抗A抗体」「抗B抗体」‥どちらもありません。
抗原のみで抗体がないため、抗原-抗体反応(凝集反応)は起こりません。
血液型O型の人の血液(抗原と抗体)
「O型」の人は、赤血球に「A抗原」と「B抗原」‥どちらもありません。
また逆に血清(血漿)中には「抗A抗体」「抗B抗体」の両方をもっています。
抗体のみで抗原がないため、抗原-抗体反応(凝集反応)は起こりません。
ABO式血液型(まとめ)
もう一度、ランドシュタイナーの法則をみて‥自分の理解度を確認してみましょう!
ABO式血液型とオモテ試験・ウラ試験
血液型を調べるときの検査方法として2つあります。
それが「オモテ試験」と「ウラ試験」ですね。
そうです♪
どうやって調べるかというと‥赤血球の抗原を調べる方法と、血清中の抗体を調べる方法があるのですが‥どちらが「オモテ試験」だと思いますか?
でも‥それって、私が決めたことじゃないから‥分からないのでは‥。
確かに、そうですね。
でも、自分だったらどっちを「オモテ試験」と呼びたいですか?
そうだな~。直接どんな「抗原」をもっているのか調べるのが「オモテ試験」で、血清中にどんな抗体があるのか調べるのを「ウラ試験」にするかな‥。
そうですよね!抗原で血液型を決めているので、抗原を直接みた方が確実です。
そして‥実際にカン子さんの言う通りです。
名前を付ける人も無暗やたらにつけているのではなくて、それなりの理由があってつけているため、そういった感覚を大事にしておくと‥忘れてもいつでも捻りだすことができますね♪
【オモテ検査とウラ検査】
オモテ検査⇒赤血球にある抗原を直接的に調べる検査
ウラ検査⇒血清にある抗体を調べて間接的に赤血球の抗原を推測する検査
では、順番に見ていきましょう!
「オモテ試験」「ウラ試験」ともに、抗原-抗体反応をみていきますよ!
血液型検査 オモテ試験
赤血球の抗原を調べるために、「抗A抗体」「抗B抗体」それぞれの入った溶液を用いて「凝集」するかどうかを見ていきます。
【オモテ検査の結果判定】
抗A抗体の溶液で「凝集」あり⇒血球に「A抗原」がある⇒「A型血液」もしくは「AB型血液」
抗B抗体の溶液で「凝集」あり⇒血球に「B抗原」がある⇒「B型血液」もしくは「AB型血液」
なるほど~。
ということは‥どちらの溶液でも「凝集」があった場合は「AB型血液」だし‥
とちらの溶液でも「凝集」がなかった場合は「O型血液」ってことかぁ~♪
バッチリですね!
血液型検査 ウラ試験
血液中の抗体を調べるために、検査用の「A型赤血球」「B型赤血球」の入ったそれぞれの入った溶液を用いて「凝集」するかどうかを見ていきます。
A型ではB型赤血球と反応し、B型ではA型赤血球と反応します。
【ウラ検査の結果判定】
A型赤血球の溶液で「凝集」あり⇒血液中に「抗A抗体」がある⇒「B型血液」もしくは「AB型血液」
B型赤血球の溶液で「凝集」あり⇒血液中に「抗B抗体」がある⇒「A型血液」もしくは「AB型血液」
この場合‥どちらの溶液でも「凝集」があった場合は「O型血液」かな?
そっかぁ‥とちらの溶液でも「凝集」がなかった場合は「AB型血液」になるのか‥
その通りです。
さっきとは逆ですね!
こういった検査結果も丸暗記で覚えるよりも、原理原則が分かっていればいつでも捻り出すことができますよね♪
確かに‥そうですね!
丸暗記では覚えきれないです。
ABO式血液型とオモテ試験・ウラ試験(まとめ)
以上をまとめると、下記の表のようになります。
ABO式血液型を踏まえた輸血の原則
輸血をする場合、同じ血液型で行うのが普通ですよね。
でも‥同じ血液型がないときは、緊急で別の血液型の血液を輸血することがあります。
えっ、それってマズイんじゃないの‥。
そうですね‥。
どの血液型でもできる訳ではありませんが、どういった場合なら可能でしょうか?
抗原-抗体反応が起こらないのって‥あるのかな?
では一緒に考えてみましょう♪
輸血といっても範囲が広いので、一般的な輸血‥濃厚赤血球製剤を輸血する場合で考えてみましょう。
【濃厚赤血球製剤】
血液から血漿、白血球および血小板の大部分を取り除いたもの。
出血などで赤血球が不足する場合などに使用されます。
ちなみに‥濃厚赤血球製剤は採血後21日間使用可能です。
また凍らせてしまうと解凍時に溶血(赤血球が破壊)してしまうため‥保存温度は2~6℃です。
さらに‥ちなみに‥新鮮凍結血漿は採血後1年間使用可能で、保存温度は-20℃です。
血液型A型の人に他の血液型の濃厚赤血球製剤を輸血する!?
【A型血液】
A抗原(赤血球中)・抗B抗体(血清中)がある
A型の人の血液は「抗B抗体」をもっていますので、B抗原のある血液を輸血すると強い「抗原-抗体反応」を起こしてしまいます。
なので‥血液型がA型の人には、他の血液型では「O型」の赤血球を輸血することができますが、「B型」「AB型」の人の赤血球は輸血できません。
濃厚赤血球製剤は赤血球だけだから、血清(抗体)の方は考えなくていいのね!
血液型B型の人に他の血液型の濃厚赤血球製剤を輸血する!?
【B型血液】
B抗原(赤血球中)・抗A抗体(血清中)がある
B型の人の血液は「抗A抗体」をもっていますので、A抗原のある血液を輸血すると強い「抗原-抗体反応」を起こしてしまいます。
なので‥血液型がA型の人には、他の血液型では「O型」の赤血球を輸血することができますが、「A型」「AB型」の人の赤血球は輸血できません。
血液型AB型の人に他の血液型の濃厚赤血球製剤を輸血する!?
【AB型血液】
A抗原とB抗原(赤血球中)がある。血清中に抗体はない。
AB型の人の血液は抗体をもっていませんので、「A抗原」「B抗原」のある血液を輸血しても原則「抗原-抗体反応」を起こしません。
なので‥血液型がAB型の人には、他のどのタイプの血液型でも赤血球を輸血することができます。
血液型O型の人に他の血液型の濃厚赤血球製剤を輸血する!?
【O型血液】
抗原(赤血球中)はない。抗A抗体と抗B抗体(血清中)がある。
O型の人の血液は抗Aと抗Bの両方の抗体をもっていますので、「A抗原」「B抗原」のある血液を輸血すると強い「抗原-抗体反応」を起こしてしまいます。
なので‥血液型がO型の人には、他の血液型の赤血球を輸血することができません。
O型の人は別の血液型の人からは輸血してもらえないのに、逆にどの血液型の人にも輸血してあげられるのね‥。
あくまで、基本は同型輸血(同じ血液型での輸血)です。
緊急時のみ‥今説明したような考え方で輸血ができるということです。
ABO式血液型を踏まえた輸血の原則(まとめ)
まとめると以下のようになります。
はじめの看護師国家試験問題を解いてみよう!
看護師国家試験問題(第111回 午後28問)
ABO式血液型におけるオモテ検査とウラ検査の結果の表を示す。
血液型判定の結果がO型となるのはどれか。
1. ①
2. ②
3. ③
4. ④
血液型を調べる検査についての問題ですね。
オモテ試験が「赤血球の抗原」を調べる検査で、ウラ試験が「血清中の抗体」を調べる検査でした。
問われているのは「O型の血液」についてですので、O型血液の特徴(ランドシュタイナーの法則)を思い出してみましょう!
O型血液は赤血球に抗原を持たず、血清には「抗A抗体」「抗B抗体」をもつものでしたね。
なので、オモテ試験の「抗A血清」「抗B血清」には反応しないはずですね。
そうすると、答えは「3」しかありませんが、一応「ウラ試験」もみてみましょう!
O型血液は血清に「抗A抗体」「抗B抗体」をもっているので、「A型血球」にも「B型血球」にも反応します。
「3」も確認するとそのようになっているので‥答えは、「3」となります。
看護師国家試験問題(第105回 午後27問)
血液型で正しいのはどれか。
1.日本人の15%はRh(-)である。
2.A型のヒトの血漿には抗B抗体がある。
3.B型のヒトの赤血球膜表面にはA抗原がある。
4.クームス試験(Coombs)でABO式の血液型の判定を行う。
この問題の選択肢の中で、今回学んできたのは‥「2」と「3」ですので、この2つから見ていきましょう!
「2.A型のヒトの血漿には抗B抗体がある。」
A型のヒトは‥血球にA抗原があるので、血漿中には「抗B抗体」があるはずですね。
なので、「2」は「〇」です。
いきなり、正解に当たりましたが‥他の選択肢もみていきましょう!
「3.B型のヒトの赤血球膜表面にはA抗原がある。」
B型のヒトは‥血球にB抗原があるので、これは「×」ですね。
では、「1」「4」はどうでしょう?
「1.日本人の15%はRh(-)である。」
Rh式血液型には、いくつかの抗原の種類(D、E、C、c、e)があり、このうち「D」の因子を持つ場合を「Rh(+)」、持たない場合を「Rh(-)」と言います。
ご存じのようにRh(-)の人は日本人では少ないのですが‥どのくらい少ないかというと、200人に1人(0.5%)です。
ちなみに‥Rh(-)は、白人では15%と言われています。
わたしは、看護学校時代1クラス40人でしたが、5クラス(200人)あったとして、その中に1人しかいないんだ~スゴイ少ないな~といった印象と共に覚えています!
「4.クームス試験(Coombs)でABO式の血液型の判定を行う。」
クームス試験はちょっと難しいですが、クームス血清という抗ヒトグロブリン抗体(ヒトの抗体に対する抗体)を加えて、血液中の「不完全抗体」を検出する検査と理解しておきましょう!
【不完全抗体】
赤血球の抗原に結び付くが凝集までは起こさない抗体。主体はIgG。
※完全抗体とは赤血球の抗原に結び付いて凝集反応を起こす抗体。主体はIgM。
なんか‥ややこしい。
表面的にサラッと学ぼうと思うと‥と逆に難しいんですよね‥。
なので‥今回は無視してもらってもいいです!
ABO式血液型では、クームス血清ではなく、「抗A抗体」「抗B抗体」が入った血清ですので‥別の検査です。
なので、「4」は「✖」です。
ねこ太オリジナル確認問題
最後に、わたしが作成したオリジナル問題を解いてみましょう!
緊急時における濃厚赤血球製剤の輸血について正しいのはどれか。
1.A型血液の人にB型血液を輸血する。
2.B型血液の人にAB型血液を輸血する。
3.AB型血液の人にO型血液を輸血する。
4.O型血液の人にA型血液を輸血する。
この問題も根本的には『ランドシュタイナーの法則』を訊いてきていることになります。
つまり、各血液型の血液に、抗原(赤血球)が加えられた際に、抗原-抗体反応を起こさないものを選択すればよい訳です。
『ランドシュタイナーの法則』をすべて覚えていなかっとします。
それでも‥「A型血液の人の赤血球の抗原がA抗原であること」を覚えていれば、「A型血液の血清には抗B抗体がある」ことを考えられます。
そこから、順番にB型血液の人‥AB型‥O型‥となって、『ランドシュタイナーの法則』の表を全て表の形で書きだせます。
そこから‥以下のように考えていきます。
「1.A型血液の人にB型血液を輸血する。」
A型血液の人は抗B抗体がありますので、B型血液(B抗原)を輸血すると‥抗原-抗体反応を起こしてしまいます。
「2.B型血液の人にAB型血液を輸血する。」
B型血液の人は抗A抗体がありますので、AB型血液(A抗原・B抗原)を輸血すると‥抗原-抗体反応を起こしてしまいます。
「3.AB型血液の人にO型血液を輸血する。」
AB型血液の人は抗体がありませんので、何を輸血しても‥抗原-抗体反応を起こしてしません。
なので、これは「〇」です。
「4.O型血液の人にA型血液を輸血する。」
O型血液の人は抗A抗体と抗B抗体の両方をもっていますので、A型血液(A抗原)を輸血すると‥抗原-抗体反応を起こしてしまいます。
よって、答えは「3」となります。
さいごに♪
最低限知っておけばいい知識は2つあります。
まず1つはランドシュタイナーの法則です。
全部を覚えなくても、A型だけでも覚えておくと、連鎖式にB型‥AB型‥O型と考えられます。
もう1つはこれです。
血液型の正体‥「ランドシュタイナーの法則」の正体は‥『抗原-抗体反応』である。
この2つの基本が分かっていれば、あとは考えて捻りだすことができたりします(≧◡≦)
それに、繰り返しやっていく内に自然と覚えられたりもしますね!
長くなってしまいましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました!
まずは、看護師国家試験合格‥そしてその先にある臨床で楽しく看護するための『力』をつけていくこと目標に、一緒にがんばっていきましょうo(*^▽^*)o
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