こんにちは!ねこ太🐈です。
『胎児循環』って何時間も勉強しているのに、よく分からない‥なかなか覚えられない‥ってことはありませんか?
実は学生時代のわたしがそうでした‥。
「ボタロー管‥アランチウス管‥って何だ~?」
「えっと‥臍動脈と臍静脈ってどっちが2本だったかな~?」
でも、丸暗記ではなく『成人の血液循環』と比較するなどして‥理解して覚えると、意外としっかり記憶に残すことができます✨
そして、どんな形で問われても難なく答えられるようになります!
今回も、看護師国家試験問題を解くことを通じて、「どこがポイントなのか?」「どう理解して覚えていけばいいのか」を一緒に考えていきたいと思いますヽ(*^^*)ノ
それでは、『胎児循環』について、バッチリ克服していっちゃいましょう!
『胎児循環』に関する看護師国家試験問題を解いてみよう!
まず以下の2問を解いてみてください。
看護師国家試験問題(第111回 午前7問)
胎児循環で胎児から胎盤に血液を送るのはどれか。
1. 総頸動脈
2. 肺動脈
3. 臍動脈
4. 臍静脈
※答えは、後半の「最初の看護師国家試験問題を解いてみよう!」に載せています。
胎盤か‥確かに胎児にしかないですね。
看護師国家試験問題(第108回 午前7問)
胎児循環で酸素を最も多く含む血液が流れているのはどれか。
1. 肺動脈
2. 肺静脈
3. 臍動脈
4. 臍静脈
※答えは、後半の「最初の看護師国家試験問題を解いてみよう!」に載せています。
血管だけじゃなくて、その中を流れる血液についても問われるのね。
2問とも解けましたでしょうか?
この2問は知っていれば、難なく解けるタイプの問題です。
解けなかった人はもちろん、解けた人も胎児循環について復習しながら、さらに理解を深めていきましょう。
それでは‥『胎盤』や『新生児とどう違うのか』を意識しながら、ねこ太🐈と一緒に楽しく『広げ学習』をしていきましょう!
『知識』と『思考力』をサクッと身に付けちゃいますよヽ(*^^*)ノ
『広げ学習(ねこ太語録)』とは1問を解くことを通して、広~く深~く学習をして、3~4問解けるだけの知識を身につけていく学習のことです。
『胎児循環』と『成人の血液循環』の大きな違い
いきなり細かい部分に入っていくのではなく、まずはザックリと胎児と成人の循環がどう違うのか捉えていきましょう。
【成人の血液循環】
【胎児循環】
『胎児循環』と『成人の血液循環』‥この2つを比べてみた時に、大きな違いがあります。
それは‥『肺が機能しているかどうか』ということです。
胎児は子宮の中にいるために肺呼吸ができず、代わりに胎盤を通して母親から酸素をもらいます。
『胎児循環』と『成人の血液循環』の相違点
成人⇒肺で呼吸をして酸素を得る
胎児⇒胎盤を通して酸素を得る
なるほど‥。
これは大きな違いですね。
そうなんです。
他にも相違点はありますが、全てはこの違いによって派生して出てくるといっても過言ではありません。
では、その他の違いについても、1つずつ確認していきましょう!
臍動脈と臍静脈
最も酸素が豊富な血液が流れている血管はどこでしょうか?
成人の場合だったら、『肺静脈』でしたよね。
う~~ん、胎児の場合は‥どこだろう?
胎児の場合は、胎盤を通して二酸化炭素を排出し、代わりに酸素を受け取ります。
なので、胎盤から戻ってくる血管‥つまり臍静脈(臍帯静脈ともいう)が最も酸素が豊富な血液が流れている血管になります。
最も酸素が豊富な血液が流れている血管
成人⇒肺静脈
胎児⇒臍静脈
なるほど~。
ちなみに‥臍動脈は『体循環』ってことでしたけど、どこから胎盤につながってるんだろう?
臍動脈(臍帯動脈ともいう)は左右の内腸骨動脈から分岐してきますよ。
だから、臍動脈は2本なんですね。
そうなんです。
そして、臍静脈は1本でしたね。
卵円孔と動脈管・静脈管
成人の場合は、肺循環がありましたね。
でも、胎児の場合は肺が機能していないため、ほとんど肺循環を行う意味がありません。
なので、ショートカット(近道)をしています。
その構造物が‥卵円孔と動脈管(ボタロー管)です。
卵円孔は右心房と左心房を隔てる心房中隔に空いている穴を指しています。
肺に血液を送る必要がないので、右心房まで来た血液の多くを左心房に流して、体循環に入っていきます。
しかし、一部の血液は右心室へと流れていってしまいます。
そこで、さらに肺動脈から大動脈へとショートカットするために、動脈管(ボタロー管)があります。
この2重のショートカットがあることで、肺にはほとんど血液がいかなくなります。
【右心房⇒全身までの経路】
成人 右心房→右心室→肺動脈→肺→肺静脈→左心房→左心室→大動脈→全身
胎児
経路1(メイン) 右心房→卵円孔→左心房→左心室→大動脈→全身
経路2(サブ) 右心房→右心室→肺動脈→動脈管(ボタロー管)→大動脈→全身
※心臓の中での血液の流れってどうだったかな‥という方は下記の記事もご参照ください。
さらに‥動脈管と似た言葉に、静脈管(アランチウス管)というものがあります。
実は、これも肺ではないのですが、ショートカットするための近道なのです。
胎盤からは最も酸素と栄養素が豊富な血液が臍静脈を通って、心臓に戻っていきます。
このとき、どういった経路かというと‥実は2つに分かれます。
【臍静脈⇒下大静脈までの経路】
経路1.臍帯静脈⇒門脈⇒肝臓⇒下大静脈
経路2.臍帯静脈⇒静脈管(アランチウス管)⇒下大静脈
※多くは経路2を通って血液は心臓に戻っていきます。
静脈管は肺ではなく、肝臓をショートカットするための近道なんだね。
う~ん、でも‥なんで『経路2』なのかな?
門脈を通っていった方が普通なような気もするけど‥。
わたし達は母親から生まれた後、口から食べ物を摂取して腸管から栄養素を吸収します。
なので、腸管から門脈を通って肝臓に栄養素が運ばれて代謝される流れが確かに普通ですよね!
でも、胎盤から通ってきた血液に含まれている栄養は実は、母親から運ばれてきた栄養素です。
つまり母親の肝臓ですでに代謝を受け、利用しやすい形に加工された栄養素になっています。
そっかぁ~~。
それだから肝臓を通る必要は余りないのね♪
【栄養素の通り道】*胎児と成人との比較
成人 口→腸管→門脈→肝臓→肝静脈→下大静脈
胎児 胎盤→臍帯静脈→静脈管(一部は門脈→肝臓→肝静脈)→下大静脈
一応、動脈管と静脈管についても振り返っておきましょう。
【動脈管と静脈管】
動脈管⇒肺動脈と大動脈をつなぐ管で、ボタロー管とも呼ばれる。
静脈管⇒臍帯静脈と下大静脈をつなぐ管で、アランチウス管とも呼ばれる。
静脈管は静脈同士をつなぐ管で、動脈管は動脈同士をつないでいる管と考えると分かりやすいですね。
成人の場合
卵円孔と動脈管・静脈管は、生まれた後は必要ないものです。
確かに‥成人の解剖生理では、そんな卵円孔や動脈管・静脈管は習わなかっただわさ。
もう消えちゃってるのかな‥だわさ。
ほかにも臍動脈や臍静脈もどうなってるのかな?
二人とも、とってもスルドイ疑問ですね。
では、一緒に疑問を解決していきましょう!
成人の場合は、どうなっているかというと‥
【成人の場合】
卵円孔⇒閉鎖(生後2~3日後に閉鎖)
ちなみに‥成人でも20~25%の人は卵円孔は完全に閉鎖せず開いたままです。
程度が大きく日常生活などに支障がでる場合はカテーテル治療などで治すこともできます。
動脈管⇒動脈管索(生後2週間で閉鎖)
静脈管⇒静脈管索
臍動脈⇒臍動脈索 ※一般に臍帯動脈索とは言いません。
臍静脈⇒肝円索
※『索』というのは、『さく』と読み、『なわ(縄)』を意味します。
動脈索や静脈索は縄のようになっていて、中は空洞になっていますが、血液が流れていたことの名残です。
動脈とか静脈は基本的には『もとの名前+索』だから分かりやすいね!
そうだね!
肝臓に入っていく臍静脈だけが、『肝円索』になってるから、なんか問題にも出しやすそう‥。
胎児循環のまとめ
では、最後に重要ポイントを整理していきましょう!
また、胎児循環は以下のようになっていました。
【右心房⇒全身までの経路】
経路1(メイン) 右心房→卵円孔→左心房→左心室→大動脈→全身
経路2(サブ) 右心房→右心室→肺動脈→動脈管(ボタロー管)→大動脈→全身
【臍静脈⇒下大静脈までの経路】
経路1.臍静脈⇒門脈⇒肝臓⇒下大静脈
経路2.臍静脈⇒静脈管(アランチウス管)⇒下大静脈
※多くは経路2を通って血液は心臓に戻っていきます。
最初の看護師国家試験問題を解いてみよう!
最後に、わたしが作成したオリジナル問題を解いてみましょう!
看護師国家試験問題(第111回 午前7問)
胎児循環で胎児から胎盤に血液を送るのはどれか。
1. 総頸動脈
2. 肺動脈
3. 臍動脈
4. 臍静脈
ではでは‥ここまで勉強してきましたので、自信をもっていきましょう!
胎児循環で、「胎児から胎盤に血液を送る‥」と書かれています。
頭にすでに図のイメージが湧いている人は直接導き出してもよいです!
一応、これは「胎児の心臓⇒胎盤」というように考えますので、動脈です。
そして胎盤につながる動脈は臍帯動脈(臍動脈)でした。
答えは、「3」です。
ちなみに‥総頚動脈については左総頚動脈は直接大動脈から分岐している血管です。
右総頚動脈は腕頭動脈から分岐したものの1つです。
腕頭動脈⇒右総頚動脈+右鎖骨下動脈
看護師国家試験問題(第108回 午前7問)
胎児循環で酸素を最も多く含む血液が流れているのはどれか。
1. 肺動脈
2. 肺静脈
3. 臍動脈
4. 臍静脈
「酸素を最も多く含む血液」という言葉が出てきました。
成人であれば、肺でガス交換をするため、その直後の「肺静脈」ということになりますが‥。
胎児循環では胎盤で二酸化炭素や老廃物をわたし、代わりに酸素や栄養を受け取るため、その直後の血管である「臍静脈」が正解となります。
ちなみに、肺静脈は血液がどのくらい流れているのかも不明で、一概には何とも言えません。
酸素を多く含む血液が流れている血管の順位としては、この中では臍静脈⇒肺静脈⇒臍動脈は言えそうですね。
答えは、「4」です。
ねこ太オリジナル確認問題
胎児の静脈管(アランチウス管)の位置で正しいのはどれか。
1.右心房と左心房の間
2.右心室と左心室の間
3.大動脈と肺動脈の間
4.門脈と下大静脈の間
5.臍静脈と下大静脈の間
「1.右心房と左心房の間」は心房中隔がありますが、そこにある胎生期の穴は‥卵円孔でしたね。
「2.右心室と左心室の間」は心室中隔がありますが、生理的には穴はありません。
穴がある場合は心室中隔欠損と言われます。
「3.大動脈と肺動脈の間」は胎生期には動脈管、そしてその後は動脈管索になります。
「4.門脈と下大静脈の間」は何もつながっていません。
「5.臍静脈と下大静脈の間」は胎生期は「静脈管」、その後は静脈管索になります。
答えは、「5」です。
では、もう1問解いてみましょう!
後に肝円索となるのはどれか。
1.動脈管
2.静脈管
3.卵円孔
4.臍動脈
5.臍静脈
胎生期にあった動脈や静脈は出生後は徐々に「なわ」になるのでしたね。
その中で、肝臓に入っていく血管だけが、肝円索になり、それ意外は‥「元の名称+索」となります。
肝円索‥肝臓に入っていく血管というと‥「臍静脈」でした。
答えは、「5」です。
さいごに♪
いかがでしたでしょうか?
きっとここまで読まれたあなたは、胎児循環については、バッチリ克服できているはずです。
胎児循環に関する問題が出たら、「ラッキー♪」と思って自信をもって臨んでいきましょうヽ(*^^*)ノ
長くなってしまいましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました!
まずは、看護師国家試験合格‥そしてその先にある臨床で楽しく看護するための『力』をつけていくこと目標に、これからも一緒にがんばっていきましょう!
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