こんにちは!ねこ太🐈です。
手の神経麻痺って、いくつか種類があったのを覚えていますか?
そうです‥『猿手』『鷲手』『下垂手』の3つです。
わたしが看護学生のとき、『猿手』『鷲手』『下垂手』はそれぞれどこの神経麻痺で起こるのか‥何回勉強してもなかなか覚えられず‥とても苦労しました。
わたしは丸暗記しちゃえばいいかな~って思ってるけど。
なんか手掛かりがなくて、覚えにくいですよね‥。
わたしも苦手だな‥。
『正中神経』『橈骨神経』『尺骨神経』‥どれが麻痺すると、どんな手の形になるのか?
問題集でも、ときどき出てくるけど、間違えちゃうんですよね‥。
わたしも、始めは丸暗記で対応していましたが、何度も忘れるので‥調べて理解して覚えることをやりました。
今回は、わたしが学生時代に覚えた、シンプルな覚え方をご紹介したいと思います!
では、今回も看護師国家試験に向けて、確かな実力をつけるための学習を一緒にしていきましょう!
そして、手の神経麻痺をバッチリ克服していきましょうヽ(*^^*)ノ
『猿手』『鷲手』『下垂手』に関する看護師国家試験問題を解いてみよう!
まず以下の2問をぜひ解いてみてください!
分からなくても、少~し考えてみましょう。
きっと、印象にも残って覚えやすくなりますよ♪
看護師国家試験問題 第102回 午後29問
麻痺すると猿手を生じるのはどれか。
1. 総腓骨神経
2. 橈骨神経
3. 尺骨神経
4. 正中神経
※答えは、後半の「看護師国家試験問題を解いてみよう!」に載せています。
丸暗記で覚えている人でも解けますが‥分かったでしょうか?
では、もう1問解いてみましょう!
看護師国家試験問題 第108回 午前31問
手の写真を別に示す。
写真の斜線部分で、正中神経の圧迫によって知覚異常を生じる部位を示しているのはどれか。
1. A
2. B
3. C
4. D
※答えは、後半の「看護師国家試験問題を解いてみよう!」に載せています。
この問題は「〇〇神経麻痺」⇒「〇〇手」と覚えていても解けません‥。
ちょっとやっかいな問題ですね。
でも、ねこ太式で『理解して覚える!』ということをしていれば、全く怖くありません!
どんな形で問われようとバッチリ答えられます✨
それでは‥ねこ太🐈と一緒に楽しく『広げ学習』をしながら、『知識』と『思考力』をサクッと身に付けていきましょうヽ(*^^*)ノ
『広げ学習』とは1問を解くことを通して、広~く深~く学習をして、3~4問解けるだけの知識を身につけていく学習のことです。(by ねこ太)
手指の解剖
いきなり細かい部分に入っていくのではなく、まずはザックリと手指の解剖を軽く復習しておきましょう。
ちょっと不安という方は、良かったら以下の記事をご参照ください。
橈骨神経・尺骨神経・正中神経の機能
さぁ、ではここからがいよいよ本番ですね!
前腕を支配する3つの神経(橈骨神経・尺骨神経・正中神経)について学んでいきましょう!
まず、神経には大きく分けて、以下のように分類されます。
ここでは、体性神経の機能に焦点を当てて考えていきたいと思います。
では、順番にみていきましょう!
橈骨神経の機能
橈骨神経は、橈骨の傍を走る神経でしたね。
橈骨側を走るということは、その部分の皮膚や筋肉に関与するということです。
橈骨神経が関与する感覚支配領域は以下の通りです。
橈骨神経の感覚支配領域は、主に手掌側ではなく、ほとんど手背側かつ親指に近い方の半分を占めています。
そして、運動神経についてはどうかというと‥
【橈骨神経の運動機能】
手首の背屈、指の伸展に関与する。
※筋肉については、何種類も細かな筋肉の話になるため割愛します。
橈骨神経の感覚支配領域も手背でしたね。
なので、運動神経も手背側にある筋肉を支配していて、手首の背屈・指の伸展に関わっている訳です。
尺骨神経の機能
尺骨神経は、尺骨の傍を走る神経でしたね。
尺骨側を走るということは、その部分の皮膚や筋肉に関与するということです。
尺骨神経が関与する感覚支配領域は以下の通りです。
尺骨神経の感覚支配領域は、手背・手掌関係なく主に子指に近い方の半分近くを占めています。
そして、運動神経についてはどうかというと‥
【尺骨神経の運動機能】
MP関節の伸展、PIP関節の屈曲、指の外転に関与する。(第1~5指、特に第4・5指))
ちょっと複雑すぎて、よくわからないです‥。
わたしもそう思います‥。
なので、感覚的に覚えていきましょう。
尺骨神経の働きは「手をパーに開いて指を曲げる!」です♪
なるほど~それくらいなら分かりましす!
でも‥複雑ですね。
無理に全部覚えようとしなくて、大丈夫ですよ!
最後に問題を解きながら、実際にどのレベルまで覚えた方がいいのか‥考えていきましょう。
なので‥まずはザックリと「そうなんだ~」って感じで読み進めていきましょう♪
正中神経の機能
正中神経は、橈骨と尺骨の間を走る神経でしたね。
橈骨と尺骨の間を走るということは、その部分の皮膚や筋肉に関与するということです。
正中神経が関与する感覚支配領域は以下の通りです。
正中神経の感覚支配領域は、残りの‥主に手掌側の大部分(母指に近い側)近くを占めています。
そして、運動神経についてはどうかというと‥
【正中神経の運動機能】
手首・指の屈曲、母指の運動
※ 主に母指の付け根の筋肉(母指球筋)を支配
橈骨神経が手背だったのに対して、正中神経の感覚支配領域は手掌です。
なので、運動神経も手掌側にある筋肉を支配していて、手首の掌屈・指の屈曲、母指の運動(伸展以外)に関わっている訳です。
橈骨神経と正中神経は、『表と裏』でそれぞれ対照的な働きをしているんですね!
なるほど~。
ちなみに‥母指球筋とは以下のような筋肉です。
【母指球筋】
手の親指の付け根のふくらみを成している筋肉の総称。
4つの筋肉(短母指外転筋、短母指屈筋、母指対立筋、母指内転筋)で構成されている。
※母指内転筋のみ、尺骨神経の支配を受けている。
母指の屈曲や外転、さらには対立運動に関与している。
※対立運動とは母指と小指のそれぞれ先端を合わせる運動で、物をつかむ機能に大きく関与している。
橈骨神経・尺骨神経・正中神経の障害と『猿手』『鷲手』『下垂手』
では、今まで学んできた3つの神経(正中神経・橈骨神経・尺骨神経)の働きを思い出しながら‥。
もし麻痺したら、どんな症状が出るのかを考えてみましょう。
症状の捉え方として、2つのポイントに分けて覚えます!
【神経麻痺の症状の捉え方】
〈ポイント1〉麻痺による運動機能の喪失
〈ポイント2〉麻痺による廃用性の筋肉の萎縮・短縮
実は、この2つのポイントによって『猿手』『鷲手』『下垂手』といった症状が現れます。
また萎縮というのは、筋肉がやせ細っていくことです。
短縮とは短くなることで、状態としては筋肉が収縮する方向に動きます。
では、順番に見ていきましょう!
橈骨神経の麻痺‥猿手?鷲手?下垂手?
橈骨神経は手背側を支配する神経の一つで、運動機能は‥『手首の背屈、指の伸展』でしたね。
なので、麻痺すると‥手首も指も伸ばすことができなくなります。
つまり、手掌側にダラ~ンと垂れた『下垂手』になります。
下の図はよく見る下垂手の様子ですよね。
これからは分からないと思いますが、運動機能として、手を握ったりする動作はできます。
尺骨神経の麻痺‥猿手?鷲手?下垂手?
尺骨神経は尺骨側の手掌・手背を支配する神経ですが、運動機能は‥『手をパーに広げて、指を曲げる』でしたね。
麻痺すると、手をパーに広げて、指を曲げる運動ができなくなりますが‥
麻痺して使わなくなることで、筋肉が短縮(拘縮)して『収縮した状態』と同じになります。
つまり、手をパーにして指を曲げた状態です。
見た目としては‥猛禽類の鉤爪(かぎづめ)つまり『鷲手』の状態になります。
ザックリと言えば、ゴジラの手みたいな感じで、わたしは覚えています。
『尺骨』側にある神経なので、特に第4・5指にその徴候が強く現れるため、『猛禽類の鉤爪』になる訳です。
鷲手って、母指・示指・中指の3本で野球ボールを持つときみたいな感じですよね!
野球好きのわたしはそんなイメージの方が覚えやすいかも♪
いいですね~。
野球のボールの握り方から『鷲手』にもつながりやすいので、バッチリですね!
正中神経の麻痺‥猿手?鷲手?下垂手?
正中神経は手掌側を支配する神経ですが、運動機能は‥『手首・指の屈曲』でしたね。
そして 母指の付け根の筋肉(母指球筋)を支配してしました。
なので、麻痺すると『手首・指の屈曲』ができなくなります。
そして、正中神経が支配する筋肉が短縮すると、収縮した状態と同じになるので、手首と指が軽度屈曲位となり、母指が第2指にくっつくようになります。
そっかぁ~、母指球の筋肉も短縮するから母指と第2指の隙間もなくなっちゃうのね。
母指は物をつかむときに大変役立つ指ですが、正中神経が麻痺すると‥母指が上手く使えなくなります。
医学的には対立運動(親指と小指をくっつける)が困難ということになります。
また母指球の筋肉が萎縮するため、母指球が平べったくなります。‥見た目はサルの手のようになります。
看護師国家試験問題を解いてみよう!
では、最初に解いてみた2つの看護師国家試験問題について解いていきましょう!
今までの説明が少し細かくなってしまったので、どの程度の知識で十分なのか‥問題を解きながら確認していきましょう!
看護師国家試験問題 第102回 午後29問
麻痺すると猿手を生じるのはどれか。
1. 総腓骨神経
2. 橈骨神経
3. 尺骨神経
4. 正中神経
※答えは、後半の「看護師国家試験問題を解いてみよう!」に載せています。
「麻痺をすると猿手を生じる」とあります。
『猿手』と神経がすぐに結び付けられていればいいですが‥。
もし、パッと思い浮かばなかったとしても、大丈夫です。
『猿の手』を思い出してみると、母指球が扁平していて、母指と第2指がくっついてる状態をイメージします。
母指‥つまり手掌側ですので、正中神経と結び付けられればOKです。
きっちり覚えなくて大丈夫です。
ザックリ頭に入れていきましょう!
手掌⇒正中神経
手背(手首・指の伸展)⇒橈骨神経
手背(小指を広げるパーの動き)⇒尺骨神経
看護師国家試験問題 第108回 午前31問
手の写真を別に示す。
写真の斜線部分で、正中神経の圧迫によって知覚異常を生じる部位を示しているのはどれか。
1. A
2. B
3. C
4. D
※答えは、後半の「看護師国家試験問題を解いてみよう!」に載せています。
これは麻痺の中でも、感覚機能障害についての問題です。
正中神経が「猿手」という知識を暗記して覚えていたとしても、解くのは難しいかもしれません‥。
でも、わたしたちは、正中神経が主に手掌側(母指側)を支配する神経であることを学んできましたので、怖くありません。!
その知識からいうと‥答えは「3」です。
しかし、一応他の選択肢も確認していきましょう♪
「1. A」については手掌・手背の小指側ですので、尺骨神経の支配領域であることが分かります。
なので、「×」です。
「2. B」については、正中神経の支配領域ではありますが、母指が含まれていないので「×」というように考えます。
「4.C」については、母指側ではありますが、手背側も大きく含まれており、橈骨神経の支配領域となっていますので、「×」です。
ねこ太オリジナル確認問題
最後に、わたしが作成したオリジナル問題を解いてみましょう!
図中の矢印で示した部位の名称を答えなさい。
1.中節骨
2.手根骨
3.末節骨
4.基節骨
5.中手骨
指に関して言えば、一番根本の部分を『基節骨』、一番上が末端であるため『末節骨』、その中間を『中節骨』と言いましたね。
漢字って意味を考えて作られているから、考えて覚えれば‥意外と覚えやすいかも!
そして、手の中にある細長い骨を『中手骨』、手の一番根っこの部分の細かな骨を『手根骨』です。
『中手骨』は見た目は、指の骨の『指節骨』と同じですが、手の中なので名称が変わるのね!
指の骨は全て『〇節骨』という名称でしたね。
節というのは、訓読みで『ふし』と読み、『区切り』『関節』を意味する言葉です。
指の関節を形づくる骨と捉えておくと覚えやすいかもしれませんね。
一応、最初に見た図をもう一度よく確認していおきましょう!
なので、答えは、「4」です。
以下の神経麻痺と症状の組み合わせで正しいものはどれか。2つ選びなさい。
1.正中神経麻痺・・・・・鷲手
2.正中神経麻痺・・・・・母指球の扁平化
3.尺骨神経麻痺・・・・・猿手
4.橈骨神経麻痺・・・・・下垂手
5.橈骨神経麻痺・・・・・かぎ爪変形
手の3つの神経麻痺全てが出てきましたね。
さらに5肢択2問題ということもあって、かなり難しそうですね。
でも、「嫌だなー」という気持ちをグッとこらえて、「よし、やってやるぞ~」という感じでいっちゃいましょう!
わたしの場合、正直に言って、どこの神経麻痺が「〇〇手」なのか‥暗記していません。
100%憶えているのは以下のような大雑把な感じです。
【手の甲】を見ながら‥
橈骨側は橈骨神経で、「トウッ」という感じで手首を勢いよく背屈させる。
尺骨側は尺骨神経で、「シャッ」という感じで手をパーに広げる(指を外転)。そして、ゴジラの手のようにカギ爪をつくる。
【掌(てのひら)】を見ながら‥
手掌側は正中神経で、手掌側の筋肉を支配だから、手首も指も屈曲。そして母指球の筋肉も支配。
そこから‥自分が出しやすい麻痺を出していけばOKです。
『橈骨神経』が働かないと手首も指も背屈できないから‥手は『下垂』するだろうな~!
『尺骨神経』が働かないと手をパーにして、ゴジラの手にする筋肉が萎縮・短縮して、その手に近づけてしまうので、『鷲手』になるな~!
『正中神経』が働かないと母指球が萎縮して第2指にくっついてしまうから‥きっと『猿手』だな!
そうすると‥
「1.正中神経麻痺・・・・・鷲手」⇒×
「3.尺骨神経麻痺・・・・・猿手」⇒×
「4.橈骨神経麻痺・・・・・下垂手」⇒〇
となり、この時点で1つ正解が分かりました。
「2.正中神経麻痺・・・・・母指球の扁平化」については、正中神経麻痺だと母指球が萎縮してやせ細るので、扁平化は正しいので、「〇」です。
この時点で答えは出ましたが‥一応、「5.橈骨神経麻痺・・・・・かぎ爪変形」も確認していきます。
かぎ爪変化は「鷲手」ですので、「尺骨神経麻痺」でしたね。
なので「×」となります。
尺骨神経麻痺は特に第4・5指に出やすいので、より第4・5指の屈曲が強く現れます。
まとめ
確認として、『まとめ』をしていきましょう!
正中神経・橈骨神経・尺骨神経の感覚支配領域は以下のような感じになります。
わたしは、自分の手の甲を見ながら、親指側半分が橈骨神経、小指側半分が尺骨神経というイメージをもって覚えています。
そして手のひらを見ながら橈骨と尺骨の中心という特別な正中神経は手掌側を任されているといった感覚をもっています。
そして、運動神経の機能は‥麻痺した症状と合わせて確認していきましょう。
【神経麻痺の症状の捉え方】
〈ポイント1〉麻痺による運動機能の喪失
〈ポイント2〉麻痺による廃用性の筋肉の萎縮・短縮
橈骨神経
⇒感覚機能は、手の手背・橈骨側を支配
⇒運動機能は、手首の背屈、手指の伸展に関与
⇒麻痺すると‥『下垂手』
尺骨神経
⇒感覚機能は、手の尺骨側(手背・手掌)を支配
⇒運動機能は、MP関節の伸展、PIP関節の屈曲、手指の外転に関与
⇒麻痺すると‥『鷲手(かぎ爪変形)』
正中神経
⇒感覚機能は、手掌側の大部分(母指に近い側)
⇒運動機能は、手首・指の屈曲、母指の運動に関与
⇒麻痺すると‥『猿手』
さいごに♪
細かくて、覚えにくい所はムリしなくても大丈夫です。
まずは大事なところから、大きく捉えることが大切です!
そして余裕があれば、広く深く覚えていきましょう♪
長くなってしまいましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました!
まずは、看護師国家試験合格‥そしてその先にある臨床で楽しく看護するための『力』をつけていくこと目標に、一緒にがんばっていきましょう!
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