こんにちは!ねこ太🐈です。
今回は、『肝臓の解剖生理』として、肝臓の構造・機能そして検査データの意味など広~く深~く勉強していきたいと思います。
「肝臓はちょっと苦手‥」という人はもちろん、「大丈夫!」という人も確認だと思って読んでみるのも復習になるかと思います♪
ここでは‥看護師国家試験問題を解きながら‥合わせて知識の確認をしていく勉強をしていきます。
『1を知って10を知る』まではいかなくても、『1問を通して3~4問』くらいを解ける知識を身に付けてしまおう♪と思っています。
わたしはこれを『広げ学習』といっていますが、看護師国家試験問題で学習していく上では、とてもオススメです。
それでは‥さっそく始めていきましょう!
『肝臓』の『肝』という字は、普段の生活の中でどんな意味で使ったりしますか?
『肝心要(かんじんかなめ)』とか『それが肝(きも)だよね!』とか‥大事なことって意味で使っています!
さすが、カン子さん!その通りですね!
肝臓は人体の中でも‥看護師国家試験の中でも、とても大事な臓器ですので、勉強するボリュームもちょっ~と多くなってます‥( ̄∇ ̄|||)
でも、大丈夫!
毎日ちょっとずつ読むだけでも自然と頭の中に入ってきますので、コツコツ『読み勉』していきましょう!
看護師国家試験問題を解いてみよう!
まず以下の2問を解いてみましょう!
(第100回 午前85問)
肝細胞で合成されるのはどれか。2つ選べ。
1. アルブミン
2. ガストリン
3. セクレチン
4. γ-グロブリン
5. コレステロール
※解答は最後の方の「はじめの看護師国家試験問題2問を解いてみよう!」に載せております。
この問題は難しくはありません。
でも、他の選択肢も含めて、1つ1つ「この物質は〇〇から分泌されて△△な働きがある」などのように明確に答えられるレベルにまで行きたいですね。
そうなって初めて「この問題を解ける力が十分にある」という評価を自分にしていきましょう!
では、次の問題です。
(第107回 午前11問)
肝臓の機能で正しいのはどれか。
1. 胆汁の貯蔵
2. 脂肪の吸収
3. ホルモンの代謝
4. 血漿蛋白質の分解
※解答は最後の方の「はじめの2問を解いてみよう!」に載せております。
この問題は、曖昧な覚え方をしていると‥戸惑ってしまうかもしれません。
必修問題レベルは確実に取れるように、しっかりと正確に覚えていきたいですね♪
では、ここから「肝臓の解剖生理」について、ねこ太🐈と一緒に楽しく『広げ学習』をしながら、『知識』と『思考力』をサクッと身に付けていきましょうヽ(*^^*)ノ
肝臓ってどんな臓器なの?
『肝臓』について学ぶ際、いきなり細かい部分を覚えようとするのではなく、まずはザックリとでいいので、肝臓の解剖生理全体を押えていきましょう!
その方が細かい所も覚えやすかったりします(≧◡≦)
わたしは、以下のようなことを簡単にまとめてみました!
肝臓の位置
肝臓は、横隔膜の直下で腹腔の右上に位置しいる臓器です。
肋骨弓によっておおわれており、息を吸うと横隔膜に押されて、わずかに肋骨弓の下から現れるため、触診すると触れることができます。
多臓器との位置関係
肝臓からは2本の「肝管」がでて、合流して「総肝管」となります。
そして途中に胆のうから続く「胆のう管」が合流して、「総胆管」になります。
〇管が合流して「総〇管」となるイメージですね。
この図にはないですが、最後は、「膵管」も合流してファーター乳頭から十二指腸につながります。
外分泌器官
肝臓は1日に1000ml程の胆汁を分泌しています。
胆汁は左右の肝管を通って、胆のうに一度蓄えられて、5~10倍に濃縮され、食べ物が来た時に分泌されます。
ちなみに‥食べ物(脂肪)が胃から十二指腸に来ると、小腸からCCK(コレシストキニン)というホルモンが分泌されて、胆のうを収縮させ、胆汁をファーター乳頭から出します。さらにCCKは胃酸の分泌抑制・胃の蠕動運動を抑制する働きがあります。
だから、脂っこいものを食べると胃の働きが落ちるから、胃がもたれるのね‥。
肝臓の重さ
肝臓の重量は一般的に成人では1400g前後と言われています。
でも、人によって身体の大きさも違うので、わたしは体重の約2%と覚えてます。
わたしは体重が60㎏なので、肝臓の重さは、1200gです。
「自分の身体の中には1200gの肝臓があるんだな~」と思いながら覚えてします。
そうすると、どちらかを忘れても、もう片方からいつでも計算して出すことができますね!
【肝臓の重さの思い出し方】
そういえば‥肝臓って体重の何%だったかな‥?
確か‥自分の肝臓は1200gだったな~。
1200gを自分の体重(60㎏)で割ってみると‥そうか2%だ!!
問題.体重80㎏の人の肝臓の重さは約何グラムか。最も近いものを選べ。
1.1000g 2.1200g 3.1400g 4.1600g
正解は‥4.1600g!
国試でも、こんな問題が出るといいですね~♪
肝臓の色
肝臓は1000g~1500gですが、実際に持ってみると、実はもっと重いです。
なぜか‥?
それは肝臓が沢山の血液(全体の10~15%)を含んでいるからです。
血液は体重の1/13ですので、体重60㎏とすると、血液量は約4.5㎏です。
とすると約500g(ペットボトル1本分)くらいの血液を含んでいると推定できますね。
それだけ、血液を多く含んでいるので、肝臓の色は血液と同じ暗赤色です。
ちなみに‥脂肪肝の人の肝臓は「フォアグラ」や「あん肝」のように白っぽい色に変わってきます。
肝臓ってどんな構造をしているの?
肝小葉
肝臓組織を顕微鏡で見てみると、肝細胞が集まって『えんぴつ』のような直径1㎜ほどの六角柱のブロックをつくっているように見えます。
この六角柱のブロックのことを『肝小葉』と呼び、肝臓組織の最小単位になります。
1つの肝小葉を構成する肝細胞は約50万個あります。
『肝小葉』の中心は静脈(中心静脈といわれる)で、六角柱の柱の部分には『胆管』『門脈』『肝動脈』の枝が走っており、グリソン鞘と呼ばれる結合組織で束められています。
クイノー分類
肝臓は門脈の分枝によってS1~S8の8つの領域に区分けをされています。
これをクイノー(Couinaud)の肝区域分類分類と言われます。
ちなみに‥S1とかいうときのこの『S』は「segment(区域)」という単語の頭文字をとっています!日本では「S1」を「エス・イチ」とか言っていたりします。
肝臓には肝鎌状間膜があり、解剖学的には肝鎌状間膜によって右葉と左葉に分かれています。
他方で、実際の臨床では、胆嚢底と肝背面の下大静脈を結ぶ線であるカントリー(Cantlie)線で右葉と左葉に分けられています。
肝臓の3つの機能を覚えよう!
まずは肝臓の機能といえば、どんなことがあるでしょう?
できれば、答えを知る前に少しでもいいので思い出してみましょう!
なぜそうするのか‥実はこのアウトプット訓練がすごーく大切だからです!!
え~~と、いざ直接的に訊かれてしまうと答えにくいかも。
せめて選択肢にしてくれれば、答えられると思うんだけどな‥。
覚えなければいけない肝臓の機能は大きく分けて、3つあります。
①栄養素の代謝・貯蔵
肝臓は、『糖質』『タンパク質』『脂質』の3大栄養素の代謝・貯蔵に関与しています。
『代謝(metaboilsm)』とは
生体内で行われる物質の合成や分解のこと。同化や異化ともいう。
糖質の代謝・貯蔵
糖質の代謝については、肝臓において合成・分解・貯蔵をしています。
食事をとって、腸管から吸収された単糖類の『ブドウ糖(グルコース)』が肝臓において多糖類の『グリコーゲン』に合成されて、肝臓(や筋肉)に貯蔵されます。
逆に血糖値が下がると‥今度は肝臓に貯蔵されていた『グリコーゲン』が『ブドウ糖(グルコース)』に分解されて、血糖値を上げます。
この時に働くホルモンはインスリンとグリコーゲンでしたね。
血糖値を下げる(ブドウ糖⇒グリコーゲン)のが‥インスリン
血糖値を上げる(グリコーゲン⇒ブドウ糖)のが‥グルカゴン
でしたね♪
肝臓における糖代謝と貯蔵
『ブドウ糖(単糖類)』⇒(合成)⇒『グリコーゲン(多糖類)』⇒(貯蔵)
(貯蔵)⇒『グリコーゲン(多糖類)』⇒(分解)⇒『ブドウ糖(単糖類)』
タンパク質の代謝
タンパク質の代謝については、肝臓において合成・分解をしています。
腸管から吸収された『アミノ酸』から、肝臓においてアルブミン・グロブリン・フィブリノゲンetcといった『タンパク質』が合成されます。
肝臓で作られる様々なタンパク質とその働き
アルブミン‥血液中にある100種類以上あるタンパク質の中の主成分でタンパク質全体の約70%を占める。膠質浸透圧の維持に関与する。栄養状態の指標の一つでもある。
アルブミン(Alb)の基準値は4.0g/dL 以上で、3.5g/dL未満を低栄養と言います。
また総蛋白(TP)の基準値は6.5~8.0 g/dlです。通常は‥TPの2/3はアルブミン、1/3はグロブリンです。
グロブリン‥血液中にあるタンパク質の中の1つで、α(アルファ)・β(ベータ)・γ(ガンマ)の3種類がある。この内α(アルファ)とβ(ベータ)のグロブリンが肝臓で作られる。
ちなみに‥γ‐グロブリンは皆さんがご存じのようにIgGなどの抗体で、白血球の形質細胞から作られます!
フィブリノゲン‥血液凝固因子の一つ(第Ⅰ因子)。出血の際には、トロンビンの作用によりフィブリンとなって、血管の損傷部に積み重なっている血小板の隙間を埋めて止血をする。
ちなみに‥血液凝固因子は、第I因子から第XIII因子(第VI因子は欠番)までの12個の因子がありますが、そのうち、第Ⅳ因子と第Ⅷ因子以外は肝臓で合成されます。
なので、肝不全(肝硬変)となると、出血が止まらない(出血傾向)という事も考えられそうですね!
また古い『タンパク質』は、肝臓で分解されて『アミノ酸』‥さらに細かく分解されていきます。
この後に紹介しますが‥
実はアミノ酸は分解されてアンモニアになりますが、さらに分解されて最終的には『尿素』となって腎臓から排泄されます。
肝臓におけるタンパク質の代謝
『アミノ酸』⇒(合成)⇒『タンパク質』
『タンパク質』⇒(分解)⇒『アミノ酸』
脂質の代謝
最後に脂質の代謝については、肝臓において合成・分解をしています。
食事をとると、腸管から吸収された『脂肪酸』と『グリセリン』が肝臓において、「トリグリセライド(中性脂肪)」「コレステロール」「リン脂質」「リポタンパク」といった脂質に合成されます。
腸管から『ブドウ糖(グルコース)』が多量に吸収されると、『ブドウ糖(グルコース)』から『脂肪酸』が作られることもあります。
中性脂肪はエネルギー源として使われ、コレステロールは細胞膜やホルモンや胆汁酸の原料として使われます。
ちなみに‥胆汁酸は脂肪を乳化して消化・吸収しやすくする作用がありますよ。
脂質の分解としては、グルコースに変換(糖新生)されることがあります。
また肝臓においても、他の組織と同様にエネルギーを得るために脂質が使われたりもします。
『糖新生』とは
糖質以外の物質(タンパク質や脂質など)から糖質が作られること
脂質は主に脂肪細胞(皮下組織、腹腔内臓器、血管組織、乳房組織)で貯蔵されます。
②毒物・薬物・ホルモンなどの解毒(不活化)
肝臓には解毒(不活化)作用があります。
解毒といっても、対象は毒物だけに限りません。
お酒(アルコール)や身体に有用な薬物なども、肝臓によって無害な(人体に影響を与えない)ものに分解されていきます。
アルコール解毒・排泄
ALDH(アルデヒド脱水素酵素)という酵素が少ない人は「アセトアルデヒド」がなかなか分解されず、二日酔い、頭痛、動悸を起こしやすくなります。
ちなみに‥日本人の40%はALDHの活性が弱く、さらに4%は全く活性がないと言われています。
アンモニアの解毒
また、タンパク質の代謝産物として、「アンモニア」という物質が体内に発生します。
肝臓は「アンモニア」を分解して最終的には「尿素」に変換します。
そして腎臓から尿中に排泄されていく訳です。
アンモニアは肝臓で代謝された後、肝臓からは胆汁中には排泄されず、腎臓で排泄されるのね~。名前は尿素だから分かりやすいけど♪
この際、肝臓が機能しない肝不全(肝硬変)の状態になると‥アンモニアが尿素に変換されずに溜まってしまいます。
アンモニアは身体にとってはとても有害な物質で、特に脳への影響が強く、身体に溜まってしまうと「肝性脳症」という状態になり、意識障害、羽ばたき振戦をといった症状が現れます。
ホルモンの不活化
他にホルモンなども代謝をしています。
過剰に作られて、余ったホルモンなどを不活化させます。
【不活化とは】
本来の働き・作用を失わせること
肝硬変(肝臓が機能しなくなった病態)では、エストロゲンが不活化されず、多量に体内に残ってしまうことによる有害な影響が症状(くも状血管腫・手掌紅斑)として現れたりします。
それと薬なんかも肝臓で代謝を受けます。
ずっと薬が残っていると‥血中濃度が高くなってしまい、中毒症状(副作用)を起こしてしまいます。
そうならないように肝臓は絶えず、代謝をして不活化している訳です。
その他、体中の組織から代謝の結果生じた老廃物などが肝臓へ送られてくるので、それらを必要時さらに代謝しながら胆汁として排泄しています。
つぎに紹介するビリルビンなどがまさにそうです。
胆汁の生成と排泄
胆汁の主な成分はビリルビンです。
寿命を終えた赤血球が脾臓で破壊され、間接ビリルビン(非抱合型ビリルビン)となって肝臓に運ばれます。
そういえば‥赤血球の寿命って何日だったかな?
それに白血球とか血小板も寿命って合ったような‥。
赤血球の寿命⇒およそ120日
白血球の寿命⇒およそ数時間~数日(種類によって様々)※好中球は数時間
血小板の寿命⇒およそ10日
白血球は好中球、好酸球、好塩基球、単球、リンパ球‥など様々な種類があるので、確かに寿命は一概には言えないかもしれないですね!
血小板は、骨髄の中の「巨核球」という細胞がちぎれてできたものなので、寿命は余り長くなさそうですね‥。
赤血球の寿命は120日⇒言い換えると「1/3」年⇒3つの中で1位(1番長寿)
といった感じで、わたしは覚えています。
その後、肝臓の細胞で代謝(グルクロン酸抱合)されて、直接ビリルビン(抱合型ビリルビン)となります。
何で‥グルクロン酸抱合されるんだろう?
どうせ排泄されるなら、そのまま胆汁として流せばいいんじゃないのかな?
いい疑問ですね~。
実は間接ビリルビンは脂溶性で、そのままでは流しにくいのです。
グルクロン酸抱合を受けることで、水溶性の直接ビリルビンに変えることで胆汁として排泄できるようになります。
ちなみに‥どちらのビリルビンも大量に血中に増えると‥黄疸やかゆみの原因になったりします。
【ビリルビンの種類】
間接ビリルビン⇒脾臓で赤血球が壊されてできる「ヘム」が代謝されてできる⇒脂溶性
※脂溶性のため、血液中ではアルブミンにくっついて移動する
直接ビリルビン⇒肝臓で間接ビリルビンがグルクロン酸抱合されてできる⇒水溶性
ついでに、その後の物質の流れをサクッと復習しちゃいましょう!
直接ビリルビンは肝臓から胆汁として分泌されます。
直接ビリルビンは、腸管の中で腸内細菌によって分解されて、ウロビリノーゲンに変化します。
さらに便として出ていくまでの過程の中で、さらに酸化・還元をうけて、最終的にステルコビリンに変化します。
またウロビリノーゲンの一部は腸管から再吸収を受け、肝臓に戻り、再び直接ビリルビンに戻った後に、再度胆汁として腸管に排出されます。
腸と肝臓の間を行ったり来たりするので、これも『腸肝循環』の1つですね。
腸から吸収されたウロビリノーゲンの一部は血流にのって、腎臓で尿として排泄されます。
そして尿中のウロビリノーゲンの一部は尿中で酸化されてウロビリンになります。
便はこのステルコビリン(茶色)、そして尿はウロビリン(黄色)による色が大きく影響を受けていますね。他にも物質の色について参考までに下に載せておきますね。
【各物質の色】
ビリルビン(直接・間接)⇒赤黄色~黄褐色
ウロビリノーゲン⇒無色透明
ウロビリン⇒黄色
ステルコビリン⇒茶色
話は戻りますが、肝臓で分泌された胆汁は1日におよそ500〜1000mlです。
とすると‥ペットボトル1~2本くらいか~。
胆汁って意外と多いんですね‥。
胆汁の主成分は‥胆汁酸、ビリルビン、コレステロールで、胆汁は胆嚢に蓄えられて濃縮されます。
胆汁酸は、脂肪を乳化して消化・吸収しやすくする作用があります。
ちなみに‥胆汁酸はコール酸、ケノデオキシコール酸などの有機酸でコレステロールから合成されます。
『胆汁』ってアルカリ性って勉強したけど‥。
胆汁酸が入っているのに‥アルカリ性なのって変じゃないですか?
本当にそうですね!
実は胆汁の中で、胆汁酸は『塩(酸塩基反応でできた物質)』の形で存在しています。
なので、これが溶けたものは、H+を受け取るので‥アルカリ性になります。
そういうものなんですね‥。
私は『化学』が苦手だったから、100%の理解ではないけど、そういうものなんだ~と思って覚えますね♪
それで十分ですよ!
もし‥もっと深く理解したいときは、高校の『化学』に戻って復習してみるといいかもしれませんね♪
ビリルビンは黄疸の原因となる物質で、間接ビリルビンと直接ビリルビンを合わせたもののことを総ビリルビンと言います。
血液検査でどのビリルビンが高いかによって、どこに障害が起きているか推測することができます!
【ビリルビンの異常】※ビリルビンの流れの図を参考にしてくださいね。
間接ビリルビンが高い⇒溶血性貧血(赤血球が異常に多く破壊されてしまう)etc
直接ビリルビンが高い⇒肝炎(肝細胞で直接ビリルビンが作らた後に胆汁がうっ滞)、胆道閉塞etc
総ビリルビンが高い⇒溶血性貧血、肝炎、胆道閉塞etc
ちなみに‥臨床では血液検査データの正常値も覚えておくと判断がスムーズです。
余裕を作って、少しずつ覚えていきましょう!
【ビリルビンの基準値】
総ビリルビン:0.2〜1.2mg/dL
間接ビリルビン:0.2〜0.6mg/dL
直接ビリルビン:0.0〜0.5mg/dL
基準値は文献等によっても若干の誤差がありますので、だいたいでOKです!
何か・・検査データの基準値とか覚えるのが苦手‥。
わたしは間接ビリルビンも直接ビリルビンもどちらも0.5mg/dL以下で、2つを合わせた総ビリルビンは1.0mg/dL以下くらいの感覚で覚えていますよ♪
ちなみに‥2.0mg/dl 以上になってはじめて眼球結膜に黄染が見られるようになります!
そっか~まずは大体で覚えていれば良いんですね!
それで‥OKですよ!
それと‥これは別の話ですが、1.0mg/dLってどのくらいか?というと、100ml(1dL)中に、1円玉(1g=100㎎)の「1/10」くらいの重さのビリルビンが溶けているということです。
かなり少ないですよね‥。でもこれが正常なんですね。
また、胆汁の働きは、脂肪を乳化して脂肪の消化・吸収を助けます。
胆汁が生成されなかったり、胆道が閉塞して腸管に流れないと‥脂肪が消化・吸収できずに便として排泄されてしまいます。
これを『脂肪便』と言います。
そういえば‥実習で受け持った肝硬変の患者さんがトイレで排便した際に、便器の中の水に油っぽいのが浮いていたのは、そういうことだったんだ~。
他にどんな特徴がある?
まずは、今まで紹介した3つの主な特徴をしっかり押さえた上で‥。
もし、余裕があれば‥あと2点くらい一緒に覚えて肝臓の具体的なイメージをさらに広げていきましょう!
再生力が高い!
まず、1つ目は再生力が高いということです。
肝臓は生体肝移植という言葉があるように、少し切り取って他者へ移植したとしても、再び元の大きさに戻るという特別な臓器です。
生体肝移植では、30%以上の大きさの肝臓がドナー(臓器提供者)からレシピエント(移植希望者)へ移植されます。
肝臓は手術で70%近くを切っても、元に戻るのね~スゴイ再生力!!
予備力が高い
普段、わたしたちは転んで手や足に怪我をしたら、体中に知覚神経や自律神経が張り巡らされているため、痛みを感じますよね。
でも、肝臓にはそういった神経がないため、何か炎症が起きていても、痛みを感じにくい訳です。
また肝臓は少しくらい障害を受けても、他の正常な細胞が機能することで全体として機能を保ちます。
肝臓は、普段の生活において最大機能の30%しか使っていないと言われています。
全力で走っているのではなく、かる~くランニングしているくらいの感覚です。
つまり70%の肝細胞が障害されても問題なく生活していける訳で‥『予備能が高い臓器』といえます。
また特定の部位が損傷を受けた際に、残されたほかの領域が、その機能を補うことを『代償』と言います。
なので別の言い方をすれば‥肝臓は代償機能が高い臓器とも言えそうですね♪
そのため、異常があっても症状が出にくい‥。
逆な見方をすれば‥症状が出たときにはかなり悪い状態という訳です。
このような理由から、肝臓は『沈黙の臓器』と言われたりします。
肝臓って『無口な頑張り屋さん』なんですね!
いつもがんばってくれる肝臓にはとても感謝してるけど、辛いときは無理しないで弱音を吐いてほしいですね‥。
そ‥そんな泣くほどの事なのかな‥!?
検査データの見方
検査データって、どうやって見るのか‥難しいですよね。
わたしも苦手です。
でも臨床で働いてく中で、医師の先生方がどんな感覚でデータを見ているのか、いつも気にしながら勉強していました。
肝臓に関するデータで看護師として知っておいた方がよいのは、限られていますので、しっかり押さえちゃいましょうヾ(≧∇≦*)/
まず超重要なポイントは以下の3つです。
1.肝細胞が障害されていないかを見る⇒AST、ALT、γ-GPT
2.肝細胞の機能しているかを見る⇒総蛋白(TP)、アルブミン(Alb)、中性脂肪、コレステロール、アンモニア、プロトロンビン時間(PT)、活性化トロンボプラスチン時間(APTT)
3.胆汁の流れに障害がないかを見る⇒アルカリフォスファターゼ(ALP)、ビリルビン
では、代表的なものを見ていきましょう!
AST、ALT、γ-GPT
【基準値】
AST(GOT):7~38 IU/L
ALT(GPT):4~44 IU/L
γ-GPT:男性:80 IU/L以下、女性:30 IU/L以下
AST(GOT)、ALT(GPT)は肝細胞内にある酵素です。
そして、γ-GTP は主に胆管の細胞(ほかに肝臓、膵臓、腎臓など)でつくられる酵素です。
つまり、肝臓が破壊されると‥これらの酵素が血中に出てきてしまいます。
現在、肝臓や胆管の炎症がどの程度酷いのか、もしくは回復しているのか‥程度を把握することもできます。
AST(GOT)⇒肝臓以外の心筋・骨格筋・赤血球などの細胞にも存在している。
ALT(GPT)⇒主に肝臓の細胞に存在している。
なので、肝臓に障害がある場合は、ASTも上昇しますが、ALTが優位に上昇します。
逆に心筋梗塞などの場合はALTは余り上昇しませんが、ASTが優位に上昇しますよ~♪
γ-GTPは主にアルコールを多飲していたり、脂肪肝で上昇します。
アンモニア
【基準値】
アンモニア(NH3):30~80 μg/dL
肝臓の機能でも紹介した『解毒機能』が低下することが原因です。
体内のアンモニアは、たんぱく質の代謝の過程で発生します。
最終的には肝臓で尿素になりますが‥。
肝機能が障害されると血液中にアンモニアが溜まります。
この時に生じるのが肝性脳症でしたね!
アルカリフォスファターゼ
【基準値】
アルカリフォスファターゼ(ALP):50~350 IU/mL
アルカリフォスファターゼ(ALP)はリン酸化合物を分解する酵素です。
主に肝臓や腎臓、腸粘膜、骨などの細胞で作られます。
最後は肝臓でALPは処理をされて‥ビリルビンと同じ様に胆汁中に排泄されます。
そのため、肝臓の機能が低下すると、胆汁中のALPは逆流して血液中に流れ込みます。
また胆石、胆道炎、胆道がんなどによって胆道狭窄・閉塞しても、同様に胆汁の流れが悪くなったり、逆流して血液中に流れ込みます。
はじめの看護師国家試験問題2問を解いてみよう!
では、改めまして‥始めに紹介した2つの問題をみていきましょう!
(第100回 午前85問)
肝細胞で合成されるのはどれか。2つ選べ。
1. アルブミン
2. ガストリン
3. セクレチン
4. γ-グロブリン
5. コレステロール
この問題をどのように解いていくのか?
肝臓の機能を思い出してみましょう!
肝臓では『糖質』『たんぱく質』『脂質』といった栄養素の合成・分解・貯留をしていましたね。
この中で栄養素はどれでしょう?
そうです‥アルブミン(☛タンパク質)とコレステロール(☛脂質)です。
なので、これが正解だろうな‥と考えながら、他の選択肢もしっかり確認しておきましょう!
実は‥「ガストリン」「セクレチン」「γ-グロブリン」どれも物質的にはたんぱく質です。
でも、肝臓で合成される訳ではありません。
これらは何か?
「ガストリン」は胃のG細胞から分泌されるホルモンです!
胃に食べ物が入った際に、胃自らが分泌するホルモンで、その働きは‥胃酸分泌の促進です。
喩えるならば‥自ら放出したものによって自身を強化する‥まさに!幽遊白書に出てくる飛影の「邪王炎殺黒龍波」のようなものかもしれませんね♪
えっ‥ど‥どういうこと?
分かりにくかったらすみません‥。
まさに‥ジェネレーションギャップね‥。
「セクレチン」は小腸のS細胞から分泌されるホルモンです!
胃で消化された食べ物が十二指腸に移動してきた際に、十二指腸にあるS細胞から分泌されるホルモンで、その働きは‥胃酸分泌抑制と膵液(重炭酸イオン)分泌促進です。
胃酸の分泌を止め、さらに強酸の食べ物が十二指腸に入ってきたので、膵液(重炭酸イオン)を分泌して中和しようとします♪
なるほど~。
ちなみに‥コレシストキニン(CCK)とはどこが違うのですか?
コレシストキニン(CCK)は、胃で消化された食べ物が十二指腸に移動してきた際に、脂肪分が刺激となって十二指腸にあるI細胞から分泌されるホルモンです。
その働きは‥胃の蠕動運動抑制と膵液(重炭酸イオン)分泌促進や胆のう収縮させて胆汁分泌促進の働きがあります。
ちなみに‥脂肪の多い食事を摂ると、CCKが分泌されて胃の蠕動を抑制するため、胃もたれを起こしやすくなります。
膵液の分泌はセクレチンと共通で、胆の分泌はコレシストキニン(CCK)独自の働きなのね♪
「γ-グロブリン」は白血球の中のリンパ球‥さらにいうとB細胞が形質細胞となって作り出すのが、免疫グロブリン(γ-グロブリン)でしたね。
なので、肝臓では作られず、B細胞が存在するリンパ節、脾臓、末梢血中に分布で合成されます。
ということで、問題1の答えは「1.アルブミン」「5. コレステロール」です。
(第107回 午前11問)
肝臓の機能で正しいのはどれか。
1. 胆汁の貯蔵
2. 脂肪の吸収
3. ホルモンの代謝
4. 血漿蛋白質の分解
どの問題もそうですが、よく読んでしっかり理解して答えましょう。
肝臓の機能ので正しいものを問われています。
「1.胆汁の貯蔵」はどこの機能でしょうか?
そうです。肝臓の近くにある「胆のう」で胆汁を貯めて濃縮していましたね。
なので、「1」は正しくないです。
「2. 脂肪の吸収」はどこの機能でしょうか?
これは、モノグリセリドや脂肪酸に分解されたものが血中に吸収されるのは小腸です。
肝臓が関係しているのは、脂肪を吸収しやすくする胆汁を分泌していることでしたね。
胆汁を分泌しているから‥一瞬正解かな~と思っても、もう一度よく考えて、即座に飛びつかないようにしましょう!
「3. ホルモンの代謝」はどうでしょうか?
肝臓ではホルモンや薬物、アルコールなどが代謝(解毒)されて、無害な物質に変換されるのでしたね。
これは正しそうですね~。
一応、最後の選択肢もみてみましょう!
「4. 血漿蛋白質の分解」
これはちょっと難しいですね。
肝臓ではたんぱく質や脂質から糖新生をすることがありますが、血漿たんぱく質については「γ-グロブリン」以外は合成はするものの、分解はしないようです。
どこで分解するかというと‥どうやら血漿タンパク質は皮膚や筋肉で使われるようです。
ここまでは知らなくても‥と思いますが、一応覚えておきましょう!
この問題は、4で迷いながらも、3は確実に正解かな~ということで正解は出せそうですね。
ということで、問題1の答えは「3.ホルモンの代謝」です。
ねこ太オリジナル確認問題
今回も広げ学習をしたことで、肝臓にまつわるいろいろな知識の復習ができましたね♪
最後に、わたしが作成したオリジナル問題を解いてみましょう!
肝機能が障害された際に現れる症状として、最も不適切なものはどれか。
1.下肢の浮腫
2.鼻出血
3.手のふるえ
4.腹部膨満感
5.血圧の上昇
肝臓の機能を思い出して考えてみましょう!
すでに疾患の勉強もされている方は肝硬変の症状を思い出してみると解きやすいかもしれませんね。
肝臓の機能が分かると‥肝硬変の症状も出せてしまうという所があるので、一石二鳥ですね。
正解は‥「5」です。
肝臓機能障害が疑われるのはどれか。
1.アンモニア:48μg/dL
2.アルカリフォスファターゼ:420 IU/mL
3.総ビリルビン:1.0mg/dL
4.ALT(GPT):28 IU/L
検査データについては、よく状況設定問題でも出てきます。
余りきわどい値(基準値近辺)までは問われないので、まずは「ザックリこの辺りが正常(もしくは異常)!」といった感じで押えておくでも十分です!
正解は‥「2」です。
正直、アルカリフォスファターゼ(ALP)の基準値まではキビシイですね‥。
なので、他の選択肢が全て正常ということから消去法で正解までたどり着ければ、この問題はOKです!
血清アルブミンにおいて、低栄養状態と考えられる基準はどれか。
1.アルブミン:1.5g/dL以下
2.アルブミン:2.5g/dL以下
3.アルブミン:3.5g/dL以下
4.アルブミン:4.5g/dL以下
これは、知識があれば解けてしまいますが‥ぜひ実習で「栄養・代謝」についてのアセスメントを繰り返ししていく中で覚えちゃいましょう!
正解は‥「3」です。
さいごに‥まとめ♪
肝臓って1つの臓器なのに、こんなにいろいろな働きをするなんて‥スゴイです!
本当にそうですね。よく「化学工場」に例えられたりするので、そういったイメージを持っておくと頭にも入りやすいかもしれませんね!
今まで学んできた「主な3つの特徴」について、もう一度確認して頭に入れていきましょう!
長くなってしまいましたが、最後までお読みいただき、ありがとうございました!
まずは、看護師国家試験合格ですが‥そしてその先にある臨床で楽しく看護するための『力』をつけていくことも意識して、がんばっていきましょう!
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