こんにちは。ねこ太🐈です。
最近、保育園での児童虐待の報道が頻繁にあります。
2022年12月24日に東京日野市の「吹上多摩平保育園」で、内部告発によって2名の保育士による虐待があったことが報道されました。
どんなことをしていたかというと‥
「反抗した園児に馬乗りになってお仕置きと言って、羽交い絞めにする」
「遠足で園児にゼッケンをつけさせ、児を名前ではなく番号で呼ぶ」などです。
今回は児童虐待について、2022年11月30日に市が発表したさくら保育園での児童虐待事件を例に挙げて、一緒に考えていきましょう。
わたしは看護師で、3人の子どもの親ですが、この事件は決して他人事ではありません。
子どもと関わる職業である保育士や看護師、さらには子供に関わる職業をされている方はもちろん‥
すでに子どもがいる親やこれから親になる人、そのご家族も含めて、いつ自分が虐待の加害者になるか分からないと言えます。
「児童虐待はなぜ起こるのか?」
「虐待しないために、どうすればよいのか?」
「児童虐待防止法はどのように機能するのか?」
一緒に考えていきましょう!
※ニュース等では実名・写真等も公表されておりますが、本サイトの記事の趣旨やポリシーとして個人の名前や写真は載せないこととしております。
さくら保育園における児童虐待事件とは?
Mさん(30歳)、Kさん(38歳)、Hさん(39歳)の3名の保育士がさくら保育園に通う1歳児クラスの園児を虐待した容疑で2022年12月4日に逮捕されました。
実際にどのような虐待をしたのか‥?
児童虐待の定義も踏まえて、みてみましょう。
児童虐待は以下のように4種類に分類されます。
引用:厚生労働省(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/dv/about.html)
身体的虐待 (約25%) 殴る、蹴る、叩く、投げ落とす、激しく揺さぶる、やけどを負わせる、溺れさせる、首を絞める、縄などにより一室に拘束する など 性的虐待
(約1%)子どもへの性的行為、性的行為を見せる、性器を触る又は触らせる、ポルノグラフィの被写体にする など ネグレクト
(約19%)家に閉じ込める、食事を与えない、ひどく不潔にする、自動車の中に放置する、重い病気になっても病院に連れて行かない など 心理的虐待
(約55%)言葉による脅し、無視、きょうだい間での差別的扱い、子どもの目の前で家族に対して暴力をふるう(ドメスティック・バイオレンス:DV)、きょうだいに虐待行為を行う など 児童虐待の定義
さくら保育園での実際にあったと言われる児童虐待の内容は以下の通りです。
声を荒げる。⇒心理的虐待
睨みつける。⇒心理的虐待
頬をつねる。⇒身体的虐待
おでこをたたく。⇒身体的虐待
給食を食べない園児に対し、突然、後ろから頭をたたく⇒身体的虐待
園児の頭をバインダーでたたいて泣かせる⇒身体的虐待
棚に入った園児の足をつかんで引っ張り出し、足をつかんで宙吊りにする。⇒身体的虐待
カッターナイフの刃を見せて脅す。⇒心理的虐待
ズボンを無理やりおろす。⇒心理的虐待・性的虐待
手足口病の疑いのある園児の尻を、他の園児に触らせる。⇒身体的虐待・心理的虐待・性的虐待
「ブス、デブ、ガングロ」などと園児の容姿を罵る。⇒心理的虐待
昼寝中の園児に「ご臨終です」と言う。⇒心理的虐待
ロッカーに入って泣いている園児の姿を自分のスマートフォンで笑いながら撮影する。⇒心理的虐待
いかがでしょうか?
現在、2022年6月~8月の間に、これらの児童虐待があったことが報道されていますが‥
以前からも常習的に行われていた可能性もあります。
この中には、ネグレクトはありませんでした。
これだけの児童虐待がありながら、園や周りの保育士はこの状況を把握していなかったのでしょうか?
1歳児クラスを担当していた、保育士はMさん、Kさん、Hさん以外にも3名いました。
また他のクラスも含めて、保育士は35名、その他職員を合わせると49名程いたようです。
実は、他の保育士も、この状況を知りながら見て見ぬふりをしていました。
またそれだけに留まらず、一部の保育士は「「悪いことをしたらK先生のところへ連れて行くよ」などと脅しの道具として使っていたことが分かっています。
さらに、この事件は職員による内部告発によって明るみになっていますが‥
園長は内部告発した職員に対して、土下座までして口外しないよう頼み、さらに他の職員に対しても、漏らさないように誓約書まで書かせています。
そのため、裾野市は園長を犯人隠避の疑いで刑事告発までしています。
私立認可保育園『さくら保育園』とはどんな保育園だったのか?
さくら保育園は、昭和56年4月に創設された歴史ある保育園です。
富士山の麓にある静岡県裾野(すその)市にある保育園です。
ホームページに出てくる写真を見てみると、自然の多い広々とした環境の中で、地域住民の方々と交流しながら、子どもを育てているような‥そんな印象を受けます。
実際に保育園の目標としても、以下のようなことを挙げています。
【さくら保育園の目標】
明日を担う子供たちを、伸び伸びと恵まれた環境の中で育成することを目標とします。
・魅力ある環境づくり
・心豊かでたくましい子供
・自分の思っていることをはっきり言える子供
・みんなの中でも自分を力一杯表現できる子供
・思いやりのある子供
・友達とよく遊べる子供
また当時の園長は保育園のHPの中で、以下のようなことを述べていました。
園長からの一言
子供が生き生きと育つことは、希望のある健やかな社会です。恵まれた自然環境の中で、四季それぞれの時期に、伸び伸びと自然の体験をさせることも貴重なことです。 保育にあたっては、まず職員・子ども・保護者が三者一体となって、心とこころが通い合う環境作りをこころがけ、健康で個性豊かな子どもの成長をめざし、生き生きと活動できる場となるよう、きめ細かな保育を行ってまいります。
引用:さくら保育園HP(http://www.sakura-hoikuen.jp/about.html)
また職員への提言については以下のように書かれています。
職員への提言
・初心を忘れない
・思いやりの心を持つ
・プロ意識を持つ
引用:さくら保育園HP(http://www.sakura-hoikuen.jp/about.html)
『さくら保育園の保育方針』や『園長の一言』、そして『職員への提言』と今回の虐待事件とは、かなり大きなズレがあると言わざるを得ません。
保育方針を高く掲げることも大切ですが、掲げた後にどれだけ意識化して実践していくかが重要であると言えます。
これは保育園だけに留まらず、病院や他の企業、組織さらには個人についても同じ事が言えるでしょう。
虐待の容疑を掛けられている3名の保育士について
3名それぞれの状況について、現在明らかになっていることを紹介します。
Mさん(30歳)正規職員、家族:夫
園児への暴行の容疑で逮捕
(近隣住民からの評判)
「なんたって駐車場は5台分。自宅1階のシャッターを開放し、仲間とグリル台を囲んで酒を飲んでいた。(Mさん)はシャキシャキ動き回るなど元気いっぱい。バーベキューは日没後まで続くこともあり、いつ終わるんだろうと不安だった。茶髪だし愛想もないから保育士とは思いもしなかった」
Kさん(38歳)臨時職員、家族:夫・子ども2人
棚に入った園児の足をつかんで引っ張り出し、足をつかんで宙吊りにしたとする容疑で逮捕
(近隣住民からの評判)
「きちんと挨拶をするし、地域の清掃も必ず参加するし、班長も立派に務めたかたです。園の関係者が内部告発したと聞いたとき、告発者は小松さんだろうと思ったぐらい。魔が差したんじゃないでしょうか」
Hさん(39歳)派遣職員、家族:夫・子ども3人
園児の頭をバインダーでたたいた容疑で逮捕。
他の虐待に関わった疑いは今の所なく、「新型コロナの影響で業務量や気遣うことが増えてストレスを感じていた」と供述している。
(近隣住民からの評判)
「可愛らしく、やさしいお母さん。小学生から幼児まで3人の子育てをしながら仕事もこなしていたので頭の下がる思いでした」
「虐待なんて想像がつかない。微笑ましい親子なので、お子さんがどれほどショックを受けたのか。心配しています」
Mさんについては、近隣住民からの評判も余り良くないようですが、たまたま取材されている中でなかったがけかもしれません。
また茶髪などの身だしなみだけでは、判断はできませんが‥
「茶髪だし愛想もない」という近隣住民からの評価を踏まえると、保育士としての適性に欠けていた部分もひょっとしたらあるのかもしれません。
また他の2人に関しては、逆に近隣住民からは良い評判が聞かれています。
では、近隣住民からの評判もよい人がなぜ虐待してしまったのでしょうか?
児童虐待の原因・誘因について
1歳児という乳児クラスでは、泣き声や児の様子から読み取らなければいけなかったり、言葉が通じないため、保育士にとっては思うようにならない難しさを感じる部分でもあります。
【保育園における児のクラス分け】
0・1・2歳児⇒「乳児クラス」
3・4・5歳児⇒「幼児クラス」
※厳密には乳児とは生後1か月~1年までの小児、幼児とは生後1年~6年(小学校前)までを指します。
またコロナ禍で、業務が複雑になったり大変だったことも推測されます。
そのような中でストレスも大きく、虐待につながったとも考えられそうです。
子どもの虐待は、親と子供の間の虐待が一般的によく言われています。
その中では、虐待の原因について、以下のようなことが挙げられています。
【親と子の間で起こる虐待の原因】
ストレス
子育てで生じる不安や寂しさ
住居や経済的な問題
親子の孤立
また、虐待をしている親自身が悩み、やめたいと望んでいる場合も多いとも言われています。
そのため、虐待をする親と子ども対して、周囲からの適切な支援が必要となります。
逆に孤立させてしまうことは虐待をより悪化させることにつながるのです。
川崎市こども未来局の児童家庭支援・虐待対策室で働かれている大塚俊弘医師(精神科医)は、虐待は「依存症(アディクション)」という病気であると述べています。
そのため、自分の意志の力や精神力ではコントロールが難しいと言われています。
保育士・看護師・親がやるべき児童虐待への対策
保育士・看護師・親がやるべき児童虐待への対策として大切なことが3つあります。
被害を受ける側の児童は逃げること(児童を逃がすこと)
子供の安全が第一ですので、逃げれるだけの年齢や判断力があれば、逃げること・離れることが一番大切です。
しかし子供ゆえに状況が判断できなかったりすることで逃げれないということも多いと考えられます。
そのため、他の2つの対策が重要になってきます。
虐待をしてしまう側の親や保育者は心に余裕のある生活を送ること
虐待の原因にあるようにストレスが大きいとそれを発散するために、虐待をしてしまうことがあります。
つまり虐待がストレス発散の手段になってしまっているのです。
今回の事件でもKさん(38歳)やHさん(39歳)の場合は、そうかもしれません。
近隣住民の評価からも、虐待したことが、普段の生活状況からは考えられないことからも、特にストレスが大きかったことが影響しているのかもしれません。
また余裕のある生活はわたし達に学習する機会を与えてくれます。
こういった事件のニュースや児童相談所などの啓蒙活動など、虐待について理解を深めることが防止にもつながります。
第三者(身近な人、さらには公権力や専門家)を介入させること
児童の方も逃げたくても逃げられないという状況もあるかもしれません。
そういった場合は第三者の介入が大切です。
今回の事件もそうですが、内部通告者がいたことで、この時点で食い止めることができました。
また親だけでなく、保育士や看護師など‥人を相手にする職業の人にも助けは必要です。
自分で自分の心のケアも大切ですが、お互いにケアをし合ったり、保育士の心のケアをする職場内のシステム作りも大切であると考えます。
通報というのも、とても大切です。
通報してくれたことで、児童相談所の人が来たり、保育園であれば管理者が声を掛けてくれるでしょう。
そこで隠したりするのではなく、「実は大変だったんです‥」と助けを求めることが状況を変えてくれます。
おわりに
わたしも看護師ですが、患者さんでもいろいろな人がいます。
ときに「理不尽だな‥」と感じることも正直あったりします。
でも、そこで受けたストレスを患者さんに発散してはいけないですよね。
自分でストレスを上手く発散して、コントロールしていく必要があります。
今回の事件も決して他人事ではないというのがわたしの正直な感想です。
わたしも何かのときは、周りの人にも自分の正直な思いなどときどき話していきたいと思います。
また逆に同僚の様子も気にしながら、話も積極的に聞いていきたいと思いました。
最後に本記事が保育士、看護師以外にも子供に関わる職業の方、そして親や周りのご家族の方に少しでもご参考になれば幸いです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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